NY州 今年度の嗜好用マリファナ合法化はなし

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ニューヨーク州における嗜好用マリファナの合法化は、来年以降に持ちこされることになった。

2019年度州議会の最終日となった6月19日、法案提出者のリズ・クルーガー(Liz Kruger)上院議員(民主)は、「MRTA(Marijuana Regulation and Taxation Act)が今会期に通過しないことが明らかとなった。不幸にも、(合法化の)遅れは、不必要で、人種間で異なる取り締まりによる生活への影響を、数え切れないニューヨーカーが受けることを意味する」と声明で述べた。

続けて「数ヶ月におよぶ知事室や議員らとの交渉と会話を通じて、我々は大きな前進をとげ、法案を改善し、より多くの支持者を獲得した。ゴールにかなり近づいたが、時間切れとなってしまった」と、最終的な支持を十分に得られなかったことを明かした。

ABCによると、税収の使途や犯罪歴の取り消し、各地域のディスペンサリーの設置に関する、オプトインまたはオプトアウトなどの形式を巡って合意に達することができなかったという。

嗜好用マリファナに関しては、アンドリュー・クオモ州知事が1月の予算演説で合法化を最優先課題の一つに掲げていた。しかし、税収の使い道などを巡り議員との合意に至らず、2019年度州予算に含めることを断念した。クオモ州知事の合法化推進の根拠となった州保健局の調査では、「州がマリファナ市場を管理規制することによる効果は、潜在的なマイナスの影響を上回る」と結論づけられている。

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クルーガー議員ら合法化支持派は5月に、合法的に所持できる分量を減少するほか、税率上げるなどの変更を加えた修正案を提出していた。

上・下両院の過半数を民主党が占めるNY州で、マリファナ合法化への期待は高かった。世論調査でも支持が反対を上回るなど、世論も後押しをしたが、今年の成立を逃したことで合法化が遠のいたとの見方もある。

オバマ政権の麻薬統制政策局顧問で、「Smart Approaches to Marijuana」の代表を務めるKevin Sabet氏は、ローカルレベルではマリファナ店は不人気だとし、議員は選挙の年に当たる2020年の議題にしたがらないだろうと予測する。Sabet氏は声明で「マリファナ産業は、計画を実行することでたくさんのお金を稼げると人々に告げ、若者への危険はなく、薬物と運転の問題は大げさだと発言してきた。幸いにも、ニューヨークの親や医師、取り締まり当局、教師、多くの法律家がこの詐欺にかからなかった」と語った。一方「危険なTHC製品の全面的商品化にかわって、分別のある非犯罪化を進めるリーダー議員たちの意思は賞賛に値する」と、刑事司法制度の改革に期待を示した。

先月、イリノイ州では嗜好用マリファナの合法化法案が通過。全米で11番目の合法化州が誕生した。近隣州のマサチューセッツ州やバーモント州では、すでに合法化されている。