アメリカの国民的子供番組「ミスターロジャース」放送50周年

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Mister Rogers’ Neighborhood フレッド・ロジャース
(C)Mister Rogers’ Neighborhood

2月19日、全米で愛されたテレビ番組の司会者で製作者、フレッド・ロジャース(Fred Rogers)氏による、子供向け番組「ミスターロジャーズ ネイバーフッド」(Mister Rogers’ Neighborhood)が、公共放送サービス(PBS)での放送開始から50周年を迎えた。
同ブログラムは、子供たちに優しさや、好奇心、自尊心、人情についての重要性を伝えるもので、4世代にわたり親しまれてきた国民的人気番組。
今年は、ロジャース氏の功績を讃えるための特別番組や、ドキュメンタリー、映画などが次々と発表されている。

子供番組に革命を起こしたロジャース氏

PIX11によると、1928年3月20日にペンシルベニア州のラットローブ(Latrobe)に生まれたロジャース氏は、幼少時代は内気な少年だったが、パペットで遊び、さまざまな物語を作り出すことで、想像力を育んだという。
フレッドロジャースセンターのEmily Uhrin氏は、この時の経験が、後の子供向け番組「Mr. Rogers」のベースとなったと語っている。

フロリダのローリンズカレッジ(Rollins College)で作曲を学び、ニューヨークのテレビ局NBCに就職。2年後にはピッツバーグのテレビ局WQED-TVで働くこととなった。同局で初の教育番組「The Children’s Corner」を制作する。ロジャース氏はテレビ局で勤める傍ら、昼間は神学校で牧師になるべく神学を勉強していた。

カナダへの移住を経て、再びWQED-TVに戻ったロジャース氏は、子供用プログラム「Mister Rogers’ Neighborhood」を制作。番組は、1968年2月19日に初回がオンエアされ、2001年まで約30年間に渡って放映された国民的人気を誇る番組となった。

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「Mister Rogers」は、ロジャース氏が、子供たちの家のリビングルームにいて、彼らに直接語りかけるようなスタイルで収録されている。番組は、視聴者にネイバーフッドの現実世界と、仮想世界の「Make-Believe」という2つのパラレルワールドを介して、人生で大事なことを教えていく。

フレッド・ロジャースカンパニーのエグゼクティブプロデューサー、Ellen Doherty氏は、「ロジャース氏は、重要なことを、観る子供たちの年齢に合った、シンプルなものにしていた。アイデアを表現することに、非常に神経を使っており、それゆえに、子供たちにぴったり合う内容となった。」と語っている。

初回を見た世代は、既に50代になっているが、USA TODAYによると、ジャズベーシストのエスペランサ・スポルディング(Esperanza Spalding)は、ヨーヨーマ(Yo-Yo Ma)の登場した番組を見て、ジャズミュージシャンに憧れるようになったなど、世代を超えて多くのファンを獲得している。
また、同番組は、生や死、離婚などの難しいテーマを、どのようにソフトに、かつ正直に表現するか、スタンドアップコメディアンらにもインスピレーションを与えてきたという。

1969年に、子供向け番組やPBS(公共放送)の重要性を主張するために、ロジャース氏が議会で行ったスピーチは、多くの議員の心を動かし、DeWitt氏いわく「伝説的だった」と言われている。ベトナム戦争で予算カットに危機にさらされていたPBSは、2,000億ドル(約22億円)の資金調達を成功させた。

ロジャース氏は、2003年に胃がんのため74歳で亡くなった。2012年にスタートした「Make-Believe」の世界が探検できるスピンオフアニメ「ダニエルタイガーのネイバーフッド」(Daniel Tiger’s Neighborhood)は現在も放映されており、ロジャース氏が子供たちへ与える影響は今も続いている。

特別番組、映画が続々公開

1月末に、トム・ハンクス(Tom Hanks)主演による伝記映画「You Are My Friend」の製作が発表され、ドキュメンタリー映画「Won’t You Be My Neighbor?」が初夏に公開されるなど、ロジャース氏は再び大きな話題となっている。

いつも謙虚な振る舞いで、愛や、親切、受容のレガシーとも称されるロジャース氏を、トム・ハンクスが演じる。パーフェクトなキャストだと今から期待が高まっている。

Tom Hanks’ Mr. Rogers biopic ‘You Are My Friend’ lands at TriStar (EXCLUSIVE) https://t.co/L0ioxMgh1K pic.twitter.com/ZK7i0OiVbQ

— Variety (@Variety) 2018年1月29日

映画は、ロジャース氏とジャーナリストのトム・ジュノッド(Tom Junod)氏との友情を描くもので、9月に撮影を開始し、2019年の公開を予定している。

ドキュメンタリー「Won’t You Be My Neighbor?」は、米国で6月8日に公開される。モーガン・ネヴィル(Morgan Neville)監督による本作は、今年のサンダンス映画祭で上映され、ロッテントマトで100%のレビューを獲得した。

また、3月6日には、1時間半の特別番組「IT’S YOU I LIKE」がPBSで午後8時(東部時間)より放映される。

記念切手も販売

米国郵便局(USPS)からは、3月23日に「King Friday XIII」のマペットとロジャース氏の記念切手が発売される。