最重要証人に”感謝”の声、トランプ氏「口止め料」支払い裁判で有罪評決

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ポルノ女優に支払われた「口止め料」を違法に処理したとされる事件で、陪審員は30日、トランプ前大統領にかけられた34の罪状すべてにおいて有罪を認める評決に達した。

4月15日からマンハッタンにある刑事裁判所でスタートした裁判は、28日に最終弁論を終えた。29日の評議開始から2日目にして、米国大統領として初めて被告人となったトランプ氏に有罪評決が下された。

結果を受け、証人の一人、元弁護士のマイケル・コーエン氏はMSNBCのインタビューで感想を聞かれ、「ほっとしたという言葉がぴったりだと思う」と安堵の表情を浮かべた。事件に関してマンハッタン地区検事と最初に面会してから6年の月日が経ったという。

かつてトランプ氏の「フィクサー」と呼ばれ、トランプ氏に代わってポルノ女優ストーミー・ダニエルズ氏に口止め料を支払った張本人であるコーエン氏の証言は最重要とみなされ、裁判では数日間におよぶ反対尋問にさらされた。

すべてはトランプ氏の指示によるものであったと主張するコーエン氏に対して、弁護側は信頼性や過去の虚偽証言を厳しく追及したと報じられている。

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評決の下った30日は、自宅で判決を待つ姿を自ら撮影し、緊張した表情でテレビを見つめる様子を投稿した

さらに有罪が報じられると、「全ての訴因で有罪! #TeamCohen」とキャプションを付け、携帯電話で撮影したテレビの画面をシェア。この投稿は、120万以上視聴されている。

反トランプ派からは「米国とその他の世界のために素晴らしい役割を果たした」「あなたの忍耐や粘り強さ、犠牲を忘れない」「あなたを誇りに思う」「市民の義務を果たしてくれた」「正義は勝つ」「2015年9月からこの時を待っていた」「ありがとう、マイケル」「グッジョブ!」など感謝の声が殺到している。

一方、MAGAファンからは、「F*** you!」と罵倒するコメントや、「たった今、トランプの再選が決まった」「利己的な嘘つき。君は残りの人生、自分自身を見つめ直さなければならない」「裏切り者」などの批判が相次いでいる。

トランプ弁護団 元フィクサーの「メルトダウン」作戦は不発?口止め料裁判

陪審がトランプ氏を有罪と認めた34の「業務記録を改ざんした罪」は、ニューヨーク州法の「Eクラスの重罪」に分類され、重罪とされるうち最も軽度の犯罪とされる。刑期はそれぞれ最低1.3年から最高で4年とされるが、ニューヨーク州ではクラスEに対する量刑の上限を20年と定めている。また、裁判官は裁量で、刑期を下限以下にしたり、保護観察処分を命じることもできる。77歳という高齢で、前科がないといった要素は、トランプ氏に有利に働くとみられている。

事件を担当するフアン・マーチャン判事は、量刑の判決日を共和党全国大会を目前に控えた7月11日と定めた。専門家によると、州で実刑判決を受けた場合、直ちに拘束されるのが常だという。ただしAP通信は、トランプ氏が控訴を終えるまで刑罰を免れることを認める可能性もあると指摘している。