カバノー氏性的暴行疑惑 27日公聴会証言 ハイライト

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最高裁判事候補のブレット・カバノー(Brett Kavanaugh)氏の性的暴行疑惑に関し、上院司法委員会では27日、カバノー氏から高校生の時代に性的暴行を受けたと初めて名乗り出た女性、クリスティン・ブレイシー・フォード氏(Christine Blasey Ford)と、カバノー氏が証言を行なった。

フォード氏は落ち着いた様子で状況を説明

フォード氏は、紺色のスーツ姿で登場。共和党議員は全員男性であるため、内容を考慮し、質問者に、性犯罪を専門に扱うアリゾナ州の検察官のレイチェル・ミッチェル(Rachel Mitchell)氏が起用された。

フォード氏は日時など記憶に曖昧な部分があったが、涙で言葉を詰まらせながらも、終始落ち着き、丁寧に証言を行った。
事件現場には、カバノー氏と友人のマーク・ジャッジ(Mark Judge)がおり、カバノー氏からベッドに押しつけられ、服を引き剥がされそうになったことや、助けを求めて叫ぼうとした際に口を塞がれたことなどの状況を説明。「彼がレイプをしようとしていたことを確信している」と述べ、口を塞がれた際に息ができず、殺害の恐怖を覚えたことや、恐怖が人生において影響を及ぼし続けていることを語った。

パトリック・リーヒ上院議員(民主 バーモント)から、「最も強烈に残っている記憶」について聞かれると、「笑い声」「私を笑い者にして、喜んでいた」と、声を震わせながら語った。

人違いではないかという質問に対しては、「100%(カバノー氏だ)。」とはっきりと回答した。

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告発に関して、第三者による手ほどきがあったのではという質問に対しては、「誰かの手先ではない。私が申し出た意図は、何かの助けになることだった。」と党派には関係がないと述べた。

カマラ・ハリス上院議員(民主 カリフォルニア)は、カバノー氏が指名される前に、フォード氏が下院議員に連絡を取っていたことから、告発の理由を「市民の義務」とするフォード氏の発言を支持。フォード氏の動機を党派的と批判する共和党側をけん制。さらに、ポリグラフの結果を委員会に提出していることや、目撃証言およびFBIによる調査を求めていることに対し、カバノー氏がいずれも実施していないことを指摘。関係者の証言を含むFBIの調査の必要性を委員会に訴えた。

カバノー氏は怒りと感情で自身を擁護

カバノー氏は冒頭の声明で、「私の家族と、最高レベルの政府の公職と勤労により数十年をかけて築き上げた私の名声を破壊してしまった」と疑惑への怒りを表し、「2016年大統領選とトランプ大統領に対する鬱積した怒りに基づく、計算され、練り上げられた政治的攻撃」「これはサーカスだ」と、一連の疑惑を党略によるものだと非難した。さらに、「自分を承認しないことは、米国の法制度全体の力を損なう」「最終投票で私を打ち負かすかもしれないが、あなたは私を辞めさせることはできない。」など、力強く主張した。

36年間保存されていた1982年のカバノー氏のカレンダーは、事前に議会に提出されており、当時の交友関係、夏季の過ごし方、ビールが好きだったが、酔いつぶれたことはないことなどを詳細に語った。

フォード氏の通う学校とはパーティを行なったことがないと、本人とも面識がないと述べた。

民主党議員らは度々、FBIの調査の必要性について、カバノー氏のスタンスを問いただした。
ディック・ダービン上院議員(民主 イリノイ州)は提案があると述べ、FBIによる調査が完了するまで、公聴会と承認プロセスを停止するよう、会場に同席するホワイトハウスのドン・マクガーン法律顧問に要求するようカバノー氏に迫った。

これに対し、リンジー・グラハム上院議員(共和 サウスカロライナ)は、「君らがやりたいことは、この男の人生を破壊し、最高裁判事の空席を維持し、2020年に勝利することだ」「私の政治家人生の中で、最もばかげた、卑劣なことだ。」と、怒りを露わにした。米法曹協会のカバノー氏に対する推薦のコメントから「彼の尊厳は、疑いの余地がない。彼は個人的な行いについて用意周到だ。バイアスと先入観を抱かない。倫理に徹底した人物だ」といった部分を引用し、法曹協会が提供した黄金の基準だと、カバノー氏の人格を擁護した。さらに共和党議員に対して「もし”No”を投じるなら、君らは私の政治人生で見た最も卑劣な行いを正当化することになる」と、賛成票を投じるよう呼びかけた。

なお、公聴会の終了後、米法曹協会は委員会にあてた書簡で、FBIの調査が十分に実施されるまで投票を延期するよう要求した。要求の理由を「法の支配と法の下の手続きの尊重」とし、「連邦政府の司法候補者おける、上院議会による忠告と合意義務の基本原則から、告発とFBIによる事実を慎重に検討する必要がある。」と述べている。

上院司法委員会は当初の予定通り、金曜日に開催される。最高裁判事候補プレット・カバノー氏について、委員会による投票を実施するとみられる。