米上院司法委員会公聴会 グーグルのプライバシー侵害に厳しい意見

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上院司法委員会では12日、「カリフォルニア州消費者プライバシー法」やGDPR(EU一般データ保護規則)などのデータ保護規制の調査や、連邦レベルの法規制のあり方などを検討する公聴会「GDPR & CCPA: Opt-ins, Consumer Control, and the Impact on Competition and Innovation」を開催した。

公聴会には、グーグルやインテルなど企業の代表や学者らが出席した。議論では、個人情報の収集に関するオプトインまたはオプトアウト方式や、ルールのあり方に関して意見が交わされた。

中でも、パネリストとして参加したグーグルのシニア・プライバシー・カウンセル、ウィル・デブリス氏に、複数の議員から度々厳しい質問や意見が飛んだ。

ジョン・ニーリー・ケネディ議員(共和党)は、グーグルのプライバシーポリシーに関し、標準的な人は読もうとしないと述べ、「君らはここに死体を隠して、誰にも見つからないようにすることもできる」と語った。

前ミズーリ州司法長官のジョシュ・ホーリー(Josh Hawley)議員(共和党)は、グーグルのアンドロイドフォンにおける位置情報の追跡を取り上げ、「一般的な消費者は、電話を利用していない時でも、毎日数百回にわたって記録され、グーグルに位置情報が送られていると知ったら驚くと思うか?」と質問。ロケーションサービスがオフの間も、グーグルには4分に一回、一時間に14回位置情報が送信されているという。

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これに対し、デブリス氏が、スマートフォンの基本的な機能やサービスを提供するために必要だと回答すると、ホーリー議員は「だから、それは消費者が意義のある形でオプトアウトができないことだ。」と述べ、ロケーションサービスを切っている間も「コミュニケートして、情報を送り、君たちはそれをお金に変えている。」と語った。

さらに「私の基本的な懸念はこうだ。アメリカ国民は、このサービスに契約していない。国民は君たちのプロダクトが無料だと思っているが、無料なんかではない。国民は君らが行う追跡からオプトアウトできると思っているが、意義のある形でアプトアウトできない。」と問題を指摘。

「いつでも好きな時にチェックアウトできるが、決して離れることはできないっていう、イーグルスの歌のようだ。」と述べ、「君らの会社との取引はこのようなものだ。これが消費者にとって問題なのだ」と厳しい口調で語った。

プライバシー侵害を含む、巨大ハイテク企業による市場支配的なビジネスのあり方について、議員らの議論は厳しさを増している。

2020年大統領選の民主党候補指名争いへ出馬を表明しているエイミー・クロブシャー上院議員は先週末、ユーザーデータの利用に関する新たな課税案を検討する姿勢を示したほか、同じく大統領選に出馬を表明したエリザベス・ウォーレン議員(民主党)は先週、グーグルによるナビゲーションアプリ企業のウェイズやネット広告配信会社のダブルクリックの買収を無効とするなどの分割案を選挙公約として掲げた。

また昨日、ルパードマードック氏のニューズ・コーポレーション傘下のニューズ・コープ・オーストラリアは、豪公正取引委員会による調査に対する回答で、グーグルの「反競争的な行い」がニュースやジャーナリズムの持続可能性を脅かしているなどとし、同社を解体するべきとの見解を示した。