ギレーヌ・マクスウェル 30億円の保釈金提示→判事は却下

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ニューヨークの連邦地裁は、ギレーヌ・マクスウェル(Ghislaine Maxwell)被告(59)の保釈の求めを再び却下した。マクスウェル被告の保釈請求が却下されるのは7月に続き2度目。今回、保釈金として2,850万ドル(約29.4億円)を提示していた。28日、ニューヨークタイムズが伝えた。

マクスウェル被告は今年7月、拘置施設で自殺をはかって死亡したジェフリー・エプスタイン被告の性犯罪を助けたとして逮捕、6つの訴因で起訴された。無罪を主張しているが、有罪となれば、最大で禁錮35年の刑が科される可能性がある。現在、ブルックリンの拘置施設に収監されている。

弁護側は、拘置所の「耐え難い」環境から解放し、ニューヨーク市内の友人宅で軟禁の形をとることを認めるよう求めた。弁護側は、保釈請求書には「被告やその夫の資産、被告の家族の生活力や、友人らのすべての経済力」が反映されているとして、被告が国外逃亡を企てる危険はないと主張。さらに、監視のため民間警護員を雇うとした。

一方、検察側は、被告は「逃亡リスクが極めて高い」と主張。ニューヨーク連邦地裁のアリソン・ネイサン(Alison Nathan)判事は、検察の主張を支持し、保釈を認めないとの判断を下した。同判事は、1度目の保釈請求も却下している。この時の保釈金額は500万ドルだった。

弁護側は保釈申請書の中で、拘置所の状況について、被告は見回りの看守に15分置きに明かりで照らされるため夜も眠れず、頻繁に所持品を調べられ、常時監視の目にさらされていると説明。独房では、睡眠も食事も満足にできず、友人や家族との交流も遮断されていると訴えた。一方、検察は、被告は1日13時間独房の外に出ることが許され、個人用のシャワーや電話、専用コンピュータ2台、テレビがあると指摘。「このような特別待遇は他の収容者と一線を画すもの」と反論した。

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さらに、被告の罪状について十分な証拠がないとする弁護側の主張に対し、検察は、エプスタイン被告の犯罪スキームにおけるマクスウェル被告の役割について、3人の被害女性が裁判で証言すると説明。それぞれが「大人の女性の存在によって、いかに操られ、虐待される状況に陥れられたか」、また、マクスウェル被告がどのように少女たちに近づき、生活に関心があるふりをしながら、エプスタイン被告による性的虐待を常態化させたのかを法廷で証言する予定だと述べ、証拠は「逮捕時と同様、強いままだ」と主張した。

マクスウェル被告の逃亡リスクと莫大な資金

エプスタイン被告の死後、マクスウェル被告は、逮捕までの数カ月間、ニューハンプシャー州の別荘に身を隠していた。7月の保釈審理の際、検察側は、これを被告の逃亡リスクが高い理由の一つとして提示。またマクスウェル被告が3カ国のパスポートを所持しているほか、被告に関連する銀行口座が15以上あり、預金総額は2,000万ドル以上に上ることを明らかにした。さらに、2007年から2011年にかけて、エプスタイン被告の関連口座からマクスウェル被告の関連口座に計2,000万ドル以上が送金されていたとして、マクスウェル被告の資産の全容は「不透明で確定不能」だと述べた。

一方、弁護側は、ニューハンプシャー州に身を隠したことについて、マクスウェル被告はもともとニューヨークの社交界で知られた存在だったこともあり、報道記者の追跡を避ける目的だったと説明。逃亡が目的ではなかったと主張した。2度目の保釈申請でも、弁護側は「被告は強く無罪を主張し、自分を守るために全力を尽くしている。国にとどまって疑惑と戦う以上のことを望んではいない」と述べ、その上で、留置場の抑圧的な環境は、被告の情熱を削ぐものだと主張した。

マクスウェル被告の公判は、来年7月12日からスタートする。