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ウィル・スミス「ビンタ」騒動で、西部劇スターに注目が集まったワケ

第94回アカデミー賞授賞式の最中、ウィル・スミスがプレゼンターのクリス・ロックを平手打ちした問題で、映画芸術科学アカデミーは30日、アカデミーの行動規範違反による懲戒手続きを開始したと明らかにした。4月18日に開催されるアカデミーの理事会で懲戒処分に処すことを決定した場合、資格停止や追放、その他の制裁を科す可能性があるとしている。

アカデミー史上最悪の出来事との声があがる一方で、ツイッターでは、1973年の授賞式でマーロン・ブランドの代わりに登壇したサチーン・リトルフェザーに対するハリウッドや大物俳優の振る舞いを指摘する投稿が相次いだ。

「みんなオスカーの最も醜い瞬間だと言ってるけど、ジョン・ウェインはこの女性を攻撃するためにステージに上がろうとして6人の警備員に取り押さえられた」

「ウィル・スミスの昨晩の行為は間違っているけど、最も醜いものではない。その賞(最も醜い賞)は1973年に真のアメリカ人のサチーン・リトルフェザーを差別的に虐待し、ブーイングをしたジョン・ウェインとクリント・イーストウッドに与えられるべきだ」

舞台裏で何が?

1973年の授賞式で主演男優賞にノミネートされた俳優のマーロン・ブランドは、ハリウッドの先住民の扱いに抗議の意を示すとともに、サウスダコタ州ウンデッドニーで進行中だった抗議活動に注目を集めるため、自身は授賞式に参加せず、代理として、アパッチ族出身の女優で活動家のサチーン・リトルフェザーが出席した。

ショーの途中、マーロン・ブランドの受賞が発表されると、先住民の装束に身を包んだリトルフェザーが登壇。ブランドに代わって「残念ながらこの素晴らしい賞を拒否する。今日の映画業界におけるアメリカン・インディアンの扱い方が理由です」と話すと、拍手とともにブーイングの野次が飛んだ。「今夜を台無しにしてないことを祈り、また将来、私たちが心と理解が愛と優しさで繋がることを願います」と締めくくった。

なおリトルフェザーは2021年の英紙ガーディアンのインタビューで、ブランドは8ページにおよぶ声明を用意していたが、主催者側から60秒以内でスピーチを終えるよう命じられたと振り返っている。

リトルフェザーによると、舞台袖にいた西部劇の人気スター、ジョン・ウェインが激怒し、スピーチを阻止しようとしたという。「ステージから引き摺り下ろそうと向かってきた」と振り返り、「6人の警備員に取り押さえられた」と語った。その後、プレゼンターとして登壇したイーストウッドは「ジョン・フォードの西部劇で撃たれた全てのカウボーイを代表して賞を紹介するべきかどうかわからないが」と発言。リトルフェザーの登壇をジョークにして会場から笑いを誘った。

ジョン・ウェイン自身は後に「もしブランドに何か言いたいことがあるのなら、あの夜、インディアンの格好した見知らぬ小娘の代わりに、自分が舞台に立って自ら意見を述べるべきだった」と話したと伝えられている。

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