ジョージア上院選 トランプ派候補に中絶スキャンダル

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米中間選挙の投票日が1カ月後に迫る中、妊娠中絶反対の立場を掲げる共和党保守派の連邦上院議員候補が過去に女性を中絶させた疑惑が浮上し、スキャンダルに発展している。

疑惑の渦中にいるのは、ジョージア州連邦上院議員選の共和党指名候補で元NFL選手のハーシェル・ウォーカー氏。デイリービーストは3日、ウォーカー氏が過去に交際女性を妊娠させたうえ中絶を迫ったとする告発記事を掲載した。

記事によると、女性は2009年、交際していたウォーカー氏から中絶を促され、その費用として700ドルの小切手を渡された。女性は証拠として、小切手と一緒に渡されたというメッセージカードを公表。カードには「元気になって」という直筆のメッセージとウォーカー氏のものとみられるサインが書かれている。

ウォーカー氏は、女性の話は嘘で、その女性のことも知らないと主張しているが、デイリービーストは5日、疑惑の続報を掲載。女性とウォーカー氏との関係は中絶後も続き、2人の間の子供を育てていると明かした。女性は自分について民主党員とのみ明かし匿名で告発しているが、その理由を、子供や家族のプライバシーを守るためだと説明している。

子供のことを明かした理由について女性は、ウォーカー氏がテレビで疑惑を否定し続けるのを見て決意したと告白。「もちろんびっくりしましたが、ショックではなかった。私たちのように、彼が本当に覚えていない相手はたくさんいるのでしょうから。でもやっぱり、本当に忘れているならそれはそれで問題」と語った。

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「今まで私はおとなしくしてきた。何も言わず、問題も起こさず、表には出てこなかった。でも、ただ繰り返し虐げられ続けるつもりもありません」と思いを明かした。

ウォーカー氏は共和党保守派の中でも特に強硬姿勢で知られ、中間選挙の重要争点の一つである妊娠中絶問題では、レイプや母体に危険がある場合を含めいかなる場合も中絶を認めないという、もっとも厳しい立場を取っている。

女性はこれに対し、ウォーカー氏が選挙公約で掲げるような中絶反対派の敬虔なキリスト教徒でないことは本人の過去の言動が証明していると一蹴。「聖書の中に『4人の別々の女性との間にそれぞれ子供を設け、また別の女性と交際する』なんて教えは見当たらない。今はどの子に対しても親の責任を果たしていないことを称える教えもない。妊娠中絶するのは自分にとって正しいときにはOKだけれども、自分が上院選に出ているときには何人たりともダメだなんていう教えもない。彼は自分に都合の良いところだけを取り上げて宗教を盾に利用している」と皮肉たっぷりに話した。

疑惑をめぐっては、ウォーカー氏の息子でSNSインフルエンサーのクリスチャンさんも女性の告発を支持している。第一報のあとにツイッターに投稿した動画で、4人の女性との間に4人子供がいる、と告発女性同様にウォーカー氏の女性関係を暴露し「議員選出馬にも家族全員が反対していた、父が偽善者だとみんな知っているから」などと人格までをも否定した。

ウォーカー氏は中絶を迫った疑惑に関しては全面的に否定しており、小切手の存在については、自分は日常的に人助けのためにお金をあげている、などと釈明した。女性との間の子供についてはコメントしていない。

ジョージア州の連邦上院選は、多数派の奪還を狙う共和党にとって最も期待されていた一つ。現在連邦上院の議席は民主党50、共和党50と同数で、1票の差が結果を左右する。さらに予備選でトランプ前大統領の支持を受けたウォーカー氏の勝敗の行方は、その影響力をはかる上でも注視されている。最新の支持率調査ではウォーカー氏の対戦相手、民主党の現職ワーノック議員がわずかにリードしている。