NY州 不法移民への運転免許証発行へ

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ニューヨーク州では、今週土曜日から施行する「グリーン・ライト法」(Green Light Bill)により、不法滞在者でも運転免許証を得ることが可能となる。

6月に成立した同法では、市民権や在留資格に関わらず、16歳以上の住民は標準の運転免許証を申請することができる。申請に際する証明書類として、新たに「有効な外国のパスポート」や「領事館が発行する身分証」「外国の運転免許証」「NYC ID」などを受け付ける。ソーシャルセキュリティ番号がない場合は、宣誓供述書に署名することで申請が可能となる。

ニューヨーク州車両管理局(DMV)のホームページによると、証明書類の種類に関わらず、運転免許証はすべて同じ見た目となる。また、移民取り締まり当局を含む、政府機関とのデータ共有を制限する多くのプライバシー保護措置がとられているほか、移民法執行機関がDMVにデータを要求した場合は、免許証保持者への情報開示が義務付けられると明記している。

ニュースデーによると、グリーン・ライト法で新たに運転免許を取得することができる不法滞在者は、州全体で8万人、ロングアイランドで3万人いるとみられる。

6月に同法案を可決した際、上院トップのアンドレア・スチュアート・クーザン(Andrea Stewart-Cousins)議員(民主)は「われわれは、道路を安全にしつつ、経済を成長させることができる。これは、ニューヨーク州にとって正しい一歩であり、我々は連邦レベルでの移民法の包括的改革を唱えつづける。」と語っている。
なお取得の際には、他の運転手同様、自動車保険の加入が義務付けられる。

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州によると、新法によって州には最初3年間、8,390万ドルの歳入増が見込まれる。4年目以降は、毎年640万ドルがもたらされる。

ニューヨーク州以外の12州がこれまで、合法的な滞在資格をもたない移民に対し、運転免許証の取得を可能としている。4年前に方針を変更したコネチカット州では、無免許運転の有罪事件が4,000件減少。ひき逃げ事件は2016年から2018年にかけて9%減少したという。

新法については反対も多く、6月のシエナ大学の世論調査では、半数以上の市民が不法移民の免許証取得に異議を唱えていた。

NYタイムズによると、現在約94万人の不法移民がニューヨーク州に住む。2001年以前は、滞在資格に関係なく、運転免許書を取得できた。しかし、9/11同時多発テロ事件以降、ジョージ・パタキ(George Pataki)元州知事(共和党)が、ソーシャルセキュリティ番号を免許申請の要件に加えたため、実質的に合法的に滞在する人が取得の対象となっていた。その後、不法移民の免許取得は、何十年も議論の対象となっていた。