「信じられないほど侮辱的」バイデン氏のウクライナ電撃訪問に右派議員ら一斉非難

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プレジデントデーの20日にキーウへのサプライズ訪問を果たしたバイデン大統領に、共和党右派の議員らから非難の声が相次いだ。

フロリダ州選出のマット・ゲイツ下院議員はツイッターで「国境が危機に瀕している時、デラウエアの自宅で昼寝をする。オハイオで有毒な化学物質が燃えている時、バイデン政権は何もかもがうまく行っていると言う」と述べた上で、「だからプレジデントデーにバイデンがアメリカを捨ててウクライナに行くのは、驚くに値しない。彼は大統領就任してから、アメリカの利益を捨ててきたのだ」と投稿した。

今月3日に発生したオハイオ州イーストパレスティーンの貨物列車脱線事故では、脱線した38両のうち11両に危険な化学物質が含まれ、一部が地面や道路、水路に流出した。住民の健康被害を心配する声とともに政府への対応の遅れに批判が高まっている。

ゲイツ議員は、無期限の支援に反対の立場をとっており、今月9日にはウクライナへの軍事および財政支援の終了し、和平合意を求める決議案を議会に提出した。

同決議案の共同作成者に名を連ねたマージョリー・テイラー・グリーン下院議員(ジョージア州)もツイッターでバイデン氏への批判を展開。「プレジデントデーに、オハイオのイーストパレスティーンに行かなかった。彼はウクライナに行った。非NATO加盟国で、その指導者は俳優で、米国を世界大戦に向けて指揮しているようだ」と投稿し、「手遅れにならないうちに、アメリカ後回しのバカを弾劾しなければならない」と非難した。

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これとは別のツイートでは「信じられないほど侮辱的だ」と切り出し、「プレジデントデーに、米国大統領のジョー・バイデンはアメリカよりもウクライナを選び、一方で米国民にウクライナ政府と戦争のための支払いを強いている」と主張を繰り返した。「アメリカ人がいかにジョー・バイデンを嫌っているのか言葉では言い表せない」と加えた。

ジョシュ・ホーリー上院議員(ミズーリ)も、ウクライナ訪問の記事のリンクとともに「オハイオのイーストパレスティーンを訪問する時間はないが、このための時間は十分にある」と皮肉を込めた。

トミー・タバービル上院議員(アラバマ)は「大統領は、南の国境にいるよりもウクライナにいる時間の方が長い」とツイート。「後世に影響を与えるとともに、国家安全保障に対する差し迫った脅威をもたらすアメリカの危機に対処することを拒んでいる」と批判した。

ロシアによるウクライナ侵攻からまもなく1年になろうとする20日、バイデン氏はウクライナを電撃訪問し、ゼレンスキー大統領と面会。ハイマースの弾薬や155mm榴弾砲、ジャベリン対戦車ミサイルを含む約5億ドルの追加支援を提供する計画を明らかにした。

駐留米軍のいない紛争地域への訪問は衝撃を持って報じられ、バイデン氏の決意の強さをアピールする形となったが、一部の専門家からは効果を疑問視する声も上がっている。

ロシア生まれで2008年から2016年まで国防総省の国防情報局に務めたレベッカ・コフラー氏はFOXニュースのインタビューに出演し、今回の訪問がプーチン大統領に与える影響はないと主張した。

「バイデン氏が今訪問する作戦で、プーチンを止めることはできない。プーチンは恐れておらず、彼にはプランがある」と説明。「バイデン氏は完全に抑止に失敗し、戦略に失敗した。一貫性なく、ただウクライナに武器を投げつけて、何とかプーチンを怖がらせようとしたが、残念ながらそうはならない」と述べ、「戦争に勝つのは、武器や技術ではなく、戦略だ」と主張した。

コフラー氏は、国防総省からすでにウクライナに対して支援は持続不可能だと通告しているとし、「なぜなら自国の兵器備蓄が枯渇し、一部は交換に7~18年かかる。ウクライナは弾薬の消費率が非常に高く、われわれの生産能力では到底追いつかない」と説明。「国防総省が何の計画も立てられないことを露呈している」と批判した。

中国がロシアに兵器の供与を検討しているという政府の発表にも触れつつ、「目下の戦争を戦うという国防総省に典型的なものだが、この紛争に過度な焦点を当てるのではなく、全体像に焦点を当てなければならない」と指摘。「ロシアと中国が二面戦争でわれわれに挑むなら、われわれの勝利は本当に難しくなるだろう。というのも、先ほど言ったように、自国の武器供給を枯渇させているからだ」と続けた。