40機撃墜 ウクライナのエースパイロット「キーウの亡霊」戦死

キエフの亡霊
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ロシア軍の戦闘機40機以上を撃墜したエース・パイロットが先月、戦死していたことがわかった。29日、ロンドン・タイムズが報じた。

パイロットの名は、ステファン・タラバルカ(Stepan Tarabalka)少佐(29)。情報筋はタイムズに、先月13日、MiG29(ミグ29)戦闘機で「圧倒的なロシア軍」と空中戦を展開した際、撃墜されたと明かしている。タラバルカ氏は、最大40機のロシア戦闘機を打ち落としたという。

ウクライナ軍は25日、タラバルカ氏は死後に「ウクライナの英雄」の称号のうち、軍人として最高の栄誉となる「金星章」が授けられたと発表している

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開戦直後ヒーローに

ウクライナ政府はロシア侵攻があった2月24日、6機のロシア戦闘機を撃墜したと発表。ネットでは、敵機を次々と撃墜するエース・パイロットがいるとの噂が広がり、「キーウの亡霊」(ghost of kyiv)と名付けられ、市街地の上空を飛行するミグ29戦闘機の動画とともに拡散された。

その存在は疑問視されていたが、ウクライナの勝利を願う人々の間では、ウクライナの守護神としての名声を獲得。「ヒーロー」と称賛された。

ウクライナ政府もその数日後、「ウクライナは第二次大戦以降、初めてのエースを輩出した。人々は彼を”ゴースト・オブ・キーウ”と呼んだ。まさにそうだ。侵攻するロシア軍の空軍にとって、悪夢となっている」とツイート。エース・パイロットは開戦後2日間で、10機のパイロットを打ち落としたと説明した。投稿した動画には、「匿名のパイロット」としつつも、タラバルカ氏の写真が含まれていた。

パイロットが夢

タラバルカ氏は、労働者階級の家庭の出身で、Korolivka村の軍用飛行場の近くで育ったという。

両親は先月、NPRのインタビューに「息子はいつもパラシュート部隊の訓練を見ており、着地する場所へと駆け寄って行った」「幼い頃から、雲よりも高く飛ぶことを夢見ていた」と語った。軍隊にコネなどはなく、自力でパイロットになったという。飛行訓練で地元の上空を飛ぶ際、曲芸飛行の技を披露し、両親や近所の人々を楽しませることもあった。

父親は建設業に携わっており、タラバルカ氏が撃墜された3月13日にはポルトガルで仕事をしていた。戦死の知らせを受け、ウクライナに帰国したという。

戦死に関して「ミッションを達成したが、戻ってこなかった」と説明を受けたという。死亡時の状況の詳細は、聞かされていないと明かした。棺は閉じられた状態で、遺体は確認できなかった。母親は「彼を見ることができなかったという事実は、まだどこかで生きているという望みを与えてくれた」と語っている。タラバルカ氏には、妻と8歳の息子がいるという。