元CIAスパイの陰謀論者 コロナで死亡

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元CIAの諜報員で、「新型コロナをデマ」だと主張していた男性が、新型コロナによる肺炎で死亡した。

亡くなったのはロバート・デイビッド・スティール氏。陰謀論者として知られ、死の直前までコロナを否定していた。

約2週間前のブログ記事では、フロリダ州の病院のベッドで撮影した写真とともに「みなさんに愛を込めて。私は生き残りました!」と報告。「やつらがコロナと呼ぶものの検査で陽性が出たが、ワクチンを接種つもりはない」と宣言しつつ、「しかし、肝心なのは、肺が機能していないということだ」と病状を打ち明けていた。

VICEによると、スティール氏は、ネットの掲示板で始まったQアノンをメインストリームに拡大するのに一役買ったほか、陰謀論者のアレックス・ジョーンズ氏が運営するInfowarsのショーにも度々出演していた。人種差別や極右の社会運動などの調査分析を行う非営利組織「Institute For Research & Education on Human Rights」は、スティール氏には反ユダヤ主義者としての長い活動歴があるとしている。過去に「共和国に忠誠を尽くしていない」ユダヤ人を投獄するよう呼びかけたことがあり、さらに「市民権の属する国家やその法の支配に忠実であることを拒むシオニストは根絶しなければならない」と発言していたことがあるという。

また、VICEが昨年、Qアノン関連のドキュメンタリーでインタビューをした際、スティール氏は、新型コロナをデマだと最初に唱えたのは自分だと主張していたという。

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最近は「Arise USA」と呼ぶツアーを組織し、全米各地で現地のトランプ支持者や、著名なMAGAサポーターとともにスピーチを行なっていた。ツアーは「非営利の市民教育活動」と称し、「選挙改革法」を通じて「米政府の清廉性を回復する」などと謳っていたが、内実は、政府を信頼するべきでないと説き、主権を取り戻すために蜂起を呼びかけることに利用していたという。入院したのも、ツアーの最中だった。

友人もデマ説を信じているようだ。病院で見舞いをしたというマーク・タッシ氏は、インスタグラムに投稿した動画で、スティール氏の死を報告しつつ、ツアー中に「典型的な呼吸器系のもの」を罹ったのは「非常に疑わしい」と主張。「真実追及の運動、愛国者の運動」は「邪悪な一派から注目されている」と述べるとともに、フロリダで感染したのは、マスクやワクチン義務化に反対するデサンティス州知事の「面目をつぶすため」などと話した。

タッシ氏はまた、病院のレムデシビルと人工呼吸器の治療は「死のわな」だと主張。「人口呼吸器ビジネス」では90%の患者が死亡していると述べ、「帰ってこられたらラッキー」だと語った。さらに、感染症対策トップのアンソニー・ファウチ博士を「邪悪な悪魔的犯罪組織のフロントマン」と呼び、HIVでも同様のことをしたと批判。「HIVは存在したことがない」と誤った主張をしつつ、治療薬「AZT(アジトチミジン)」で何千人も殺したと述べ、フォロワーに「目を覚ませ」などと呼びかけた。