電気自動車大手テスラのCEO、イーロン・マスク氏は、民主党左派の有力議員、エリザベス・ウォーレン(Elizabeth Warren)上院議員とネットで舌戦を繰り広げ、話題となった。
きっかけはマスク氏が、タイム誌の「今年の人」に選ばれたこと。同誌は12日、気候変動や宇宙開発など多岐の分野で活躍し、「最も大胆かつ、既存の概念を打ち砕くような変革」を推進したと選出の理由を発表した。
これに、ウォーレン上院議員が反応。「インチキな税法を変え、”今年の人”が税金を支払い、人々にたかるのを止めさせよう」とツイートした。
ウォーレン議員は今年3月、マスク氏を含む超富裕層100人への課税を求める「ウルトラ・ミリオネア・タックス法案」を提出している。
今年7月に、宇宙旅行に出かけたアマゾン創設者のジェフ・ベゾス氏に対しても、「地球上のビジネスを大事にし、相応な税の負担をすべき」と主張していた。
なおマスク氏は今年、ジェフ・ベゾス氏の資産額を抜き、資産額で首位となった。保有資産は、2,900億ドルを超える。
一方、マスク氏が納めた連邦所得税は、年々減少しており、ProPublicaによると、2015年は6万8,000ドル、2017年は6万5,000ドル、2018年は0ドルだった。
ウォーレン氏の攻撃に、マスク氏は翌日、ウォーレン氏がネイティブ・アメリカンの祖先というのは偽りだという記事を引用し、自分を棚に上げるのはやめろと反発。
さらに、「子供の頃、誰彼かまわずどなり散らしていた、友人の怒れるおばさんを思い出した」と揶揄。「僕のことで、マネージャーを呼びつけないで。カレン上院議員」と、お願いマークの絵文字をつけた。
なお「カレン」とは、自分の権利を主張し、わがままを押し通そうとする白人女性を指すネットスラング。気に食わない出来事があると、マネージャーや警察を呼ぶよう要求する。
タイムのマスク氏選考については、シェロッド・ブラウン上院議員(民主・オハイオ州)やプラミラ・ジャヤパル下院議員(民主・ワシントン州)など他の議員からも非難の声が上がっている。
ブラウン上院議員は、「組合つぶしで有罪判決を受けた富豪」は、”今年の人”にふさわしくないと指摘。私腹を肥やす企業のトップを賞賛するのではなく、「富を生み出す労働者を称えたらどうだ」と述べた。
全米労働関係委員会(National Labor Relations Board)は2019年、テスラが組合の結成に関与した従業員を解雇したことを、違法と判断した。
The Hillによると、プラミラ・ジャヤパル下院議員(民主・ワシントン州)も「労働者家庭が、家賃の支払いや、食べ物を入手するのに困窮しているにもかかわらず、世界で最も裕福な人物が、納税を回避している」と非難している。