米ラッパーDMX、50歳で死去

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ラッパーのDMX(本名、アール・シモンズ、Earl Simmons)氏が、ニューヨーク州ホワイトプレインズの病院で死去した。50歳だった。ニューヨークタイムズが報じた。

シモンズ氏は2日午後11時ごろ、ホワイトプレインズの自宅で、薬物過剰摂取による心臓発作を起こし、病院に搬送された。その後「植物状態」となり、生命維持装置を使用していると報じられていた。家族や友人のほか、病院の周りにはファンが集いシモンズ氏の回復を祈っていた。

家族は「まさに最後まで戦った戦士だった。彼は心底から家族を愛しており、彼と過ごした時間を大切に思っている」と声明を発表した。

訃報を知った大勢のファンが病院の前に集まり、DMXを悼んでいる。

シモンズ氏は、1990年代から2000年初期に活躍。1998年のデビューアルバム「It’s Dark and Hell Is Hot」は、ビルボード200で1位を獲得。「Get At Me dog」や、音楽レーベル「ラフ・ライダーズ」をトリビュートした「Ruff Ryders’ Anthem」などのヒットソングを生み出した。

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その後も「Party Up (Up in Here)」(1999)「X Gon’ Give It to Ya」(2003)などが立て続けに話題となった。
グラミー賞に3回ノミネートされている。ファーストアルバムから5枚連続でビルボード1位を獲得した初めてのアーティストとなった。

また俳優としても活躍。ジェット・リー主演の「ロミオ・マスト・ダイ」(Romeo Must Die)、スティーブン・セガール主演の「DENGEKI 電撃」(ExitWounds)などに出演した。ケーブルテレビ局では、リアリティ番組「DMX:Soul of a Man」も製作された。

これまでに、暴行や武器の所持、薬物所持、飲酒運転など複数の容疑で繰り返し逮捕されている。2008年には動物虐待および薬物所持、窃盗で有罪を認めたほか、 2018年に脱税で、懲役12カ月の有罪判決を受けた。

シモンズ氏は1970年12月18日、ニューヨーク州マウントバーノンで生まれ、ブロンクスの北部ヨンカーズ郡で育った。
タイムズによると、シモンズ氏は回顧録「E.A.R.L.: The Autobiography of DMX」の中で、ほとんど食べ物のない家で育ったほか、母親やその恋人から、しばしば暴力を受けていたことを明かしている。「登校前、帰宅後、深夜で1日に3回盗みをやった」と綴っており、路上で車の窃盗や強盗をはたらき、10代の大半をグループホームや少年院で過ごしたという。
音楽は1980年後半、ビートボクサーから始めた。DMXは、オーバーハイムDMXドラムマシンにちなんで名付けられた。

長らく薬物依存症と戦っており、リハビリセンターに複数回入院している。薬物は14歳から使用していた。一緒にビートボクサーをしていたReady Ronから手渡され、マリファナと思い使用したのがコカインだったという。DMXの楽曲には、薬物の影響や子供時代のトラウマが反映されているという。

2019年12月、ラスベガスのクラブ「ハッカサン」でステージへの復帰を果たした。昨年7月には「バーサスバトル」で、スヌープ・ドッグと対戦。50万人以上が視聴し、話題となった。