「大企業の王国が終わりを迎える」フロリダ州知事 ディズニーワールドの特権廃止へ

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2024年米大統領選への出馬が期待されるフロリダ州のロン・デサンティス知事(共和党)は27日、新たな法案に署名し、ディズニーのテーマパークのある特別区の「自治」と「ディズニー・ワールドに提供された特権」を廃止すると発表した。

ウォルト・ディズニー・ワールドがあるフロリダ州オーランド郊外の「リーディ・クリーク改善地区」は、1960年代のテーマパーク設立当初に誘致目的で設置された特別目的区で、地区内のインフラの建設や管理、公共サービスの提供など、郡政府と同様の独自の運営が認められている。

法案は、今月上旬に州議会の上下両院を通過したもので、同地区の監督委員会のメンバーの任命権限を知事に与え、名称を「セントラルフロリダ観光監督地区」に変更するほか、ディズニーと関係の深い人物の委員会への就任を禁じるものと報じられていた

デサンティス氏は、上記に加え、地区の憲章を改正し「ディズニーの自治的な地位の終了」「フロリダ州建築基準法およびフロリダ州火災予防条例の適用除外を廃止」「州の規制審査からの免除を廃止」すると説明。さらに同地区の地方債は、州民ではなくディズニーが負担することを保障するとした。

ワシントンポスト紙によると、リーディ・クリークは、インフラや公共事業のために4兆ドル規模の地方債の発行が可能だという。地方債は連邦所得税が免除され、社債よりも借入コストを抑えることができる。

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27日、地元の当局者や消防局員らを招いて行った法案への署名式で、デサンティス氏は「大企業の王国が今日ついに終わりを迎える」と宣言。「ディズニーは1960年代以降、フロリダ州にある他の企業や個人が得られなかった特権に恵まれていた。(中略)公平な額の税金を払うことなく多大な恩恵を受け、7億ドル相当もの負債を積み上げてきた」と背景を説明し、「カリフォルニア州の会社であることが(自治権を)正当化や維持する理由にはならない」と述べた。

知事とディズニーの対立が深まったのは昨年。デサンティス氏がジェンダーや性自認に関する教育を制限する通称「Don’t Say Gay(ゲイと言わない)」法を成立させたことにディズニーが反発すると、デサンティス氏は地区の解体に向けた法的措置を起こすと宣言した。

デサンティス氏は「Don’t Say Gay」法の意図にも触れ、「私も6歳、4歳、2歳の子を持つ父親だ。妻も私もフロリダ中の親たち同様、子供は子供らしく政治的議論にさらされず学校生活を楽しんでほしいと願っている」と、子供を守る目的があるとも強調。一企業が子供たちに議論を押し付けようとするなら、それはフロリダ州の価値観ではない、と言明した。

デサンティス氏は式中、監督委員会に新たな5人を任命。来週役員会を開き、ディズニーへの課税を最優先課題として運営見直しに着手する計画だとした。

デサンティス氏は大統領選に未出馬ながら、すでに共和党で唯一トランプ氏と互角に戦える最有力候補と目されている。今回のディズニーの件を含め、フロリダ州で反リベラルの強硬政策を次々と発表しているのは大統領選への布石との見方もあり、各メディアは州の会期が終わる5月にも正式に出馬表明すると予想している。