シンシア・ニクソン候補 vs アンドリュー・クオモNY州知事が公開討論

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9月のニューヨーク州知事選の民主党予備選挙に向け、シンシア・ニクソン(Cynthia Nixon)候補と、3期目を目指す現職のアンドリュー・クオモ(Andrew M.Cuomo)州知事が、初めて公開討論会を開催した。

討論会はニューヨーク州ロングアイランドのホフストラ大学(Hofstra University)で29日午後5時より開催。7時からfacebookのストリーミング配信やWCBS-TV、CBSNで放映された。

CBSニュースによると、討論会を前に、空調の温度設定に関して、両者はバトル繰り広げられていたという。
極端に寒い部屋で演説を行うことで知られるクオモ知事に対し、ニクソン氏の陣営からは、24.5℃に設定するよう依頼を出していた。
ニクソン氏は、グリーンのシャツにホワイトのジャケットを着用して登場した。

クオモ氏は、討論会の冒頭で、トランプ大統領はニューヨーク州にとって重大なリスクだとして、移民政策や、税制改革、女性の権利、銃規制、環境問題などニューヨーク州の知事として様々な問題に挑んできたことをアピール。誰かが止めなければならないとし、自分こそがニューヨーク州で、トランプ政権に対抗するリーダーとしてふさわしいと述べた。

クオモ州知事は、2020年の大統領選に出馬するとも噂されている。もし今年再選された場合、大統領選には出馬せず、2022年までの4年の任期を全うすると名言した。

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これに対し、ニクソン氏は、最近クオモ氏の「アメリカは、かつて偉大であったことはなかった。」という発言に言及。トランプがプーチンに対抗していると言っているようなものだ、と皮肉を述べた。

地下鉄問題

非常事態宣言を発令するなど、課題が山積しているニューヨーク地下鉄問題に関しても議論が繰り広げられた。
地下鉄は、ニューヨーク市ではなく州の管轄となっているが、クオモ州知事は、改善の実行には330億ドル(約3兆6千億円)の予算が必要となり、市が半分の資金を拠出することを重ねて求めた。
ニクソン氏は、在職中の7年半の間、一向に改善されないサービスや、MTAの予算を「ATMの如く」使用していることを非難。
「彼はフィクションの世界に住んでいる」など話を何度も遮るニクソン氏に対し「さえぎるのを止めてくれる?」と反論するクオモ氏。さらに「嘘をつくのを止めたらね。」と互いにヒートアップする場面もみられた。
双方当選した場合、2019年に予定されている運賃の値上げを見送ると宣言した。

ニューヨークタイムズが2017年に行った調査によると、クオモ氏は暖冬のために経営が悪化していた州のスキー場支援に500万ドル(5.5億円)を流用したことが明らかとなっている。

タックスリターン

クオモ氏は、ニクソン氏が確定申告(タックスリターン)を十分に開示していなかったことを指摘。「私の政敵より透明性が低いのはドナルドトランプくらいだ」と皮肉った。さらに、クオモ氏は、Sコーポレーション(S corporation)という企業形態を利用し、租税を回避していると指摘。

ニクソン氏は、先週金曜日に過去5年間分の情報を開示していることを主張。さらに、2010年クオモ氏が州知事に出馬した際も、納税状況を開示していないと述べた。企業形態に関しては、俳優ではごく普通のことだと主張した。

政治倫理

ニクソン氏は、クオモ氏の元側近、ジョセフ・パーココ(Joseph Percoco)氏が汚職により起訴された件で、州政府の腐敗を指摘。知事が設けた汚職を調査するためのモアランド(Moreland)委員会の閉鎖についても非難した。
また、無制限に政治資金を寄付することのできる、いわゆる「LLCの抜け穴」による利益をクオモ氏は得ていると指摘している。

一方でクオモ氏は、ニクソン氏が親しくするニューヨークのビル・デブラシオ(Bill de Blasio)市長に、セントラルパークで開催しているシェイクスピア劇の上空をヘリコプターが飛行するのを禁止させたと指摘した。また、「Tea House for Sarah Jessica Parker」と述べ、市長への影響力を利用し、ドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ」(SATC)で共演したサラ・ジェシカ・パーカーを援助したことを暗に非難した。

タイムズによると、市役所が開示した、サラ・ジェシカ・パーカーからニクソン氏に贈られた電子メールの中には、ウエストヴィレッジの家主のリース紛争に関する件が記載されていたという。デブラシオ政権のスタッフは、この件を調査すると述べている。

マリファナ

司会者から、嗜好用マリファナが合法化された場合、子供からどう遠ざけるつもりかという質問に対しては、2人とも明確な回答は避け、従来の主張を繰り返した。
ニクソン氏は、マリファナ所持や使用の逮捕に関して、人種間での格差(80%が黒人またはラティーノ)があるとし、完全合法化を提唱してきた。

「ドラッグへの入り口だ」として合法化に消極的な姿勢を取ってきたクオモ氏は、今年に入って方針を変更している。州が行った調査の結果、「リスクよりもメリットの方が上回る」として、合法化に向け法整備を整えつつある。また、クオモ氏は、大学時代にマリファナを体験したことがあると告白した。

労働組合との関係

クオモ氏は州の主要な労働組合からの支持を取り付けており、彼らはクオモ氏に最低賃金を15ドルを支持するよう働きかけている。ニクソン氏は、労働組合は、独立した存在であるべきだと非難した。

給与は受け取らない

ニクソン氏は、州知事に当選した場合、給与は受け取らないと述べた。

支持率

最近の世論調査(Sienna College Poll)では、61%対29%でクオモ氏が圧倒的有利な状況となっている。ニューヨーク州知事選の民主党予備選挙は、9月13日に投票が行われる。