「私の考えでは、確実に諜報機関が関係している」
8月4日、フロリダ選出の共和党下院議員アンナ・パウリナ・ルナ氏は、Xに長文を投稿し、故ジェフリー・エプスタインとスパイ機関との関係をほのめかした。
ルナ氏は下院監督・政府改革委員会のメンバーで、2日前にはエプスタインの性的犯罪被害者との面会を行っていた。同委員会は、ジェームズ・コマー委員長(共和党・ケンタッキー州選出)が率い、エプスタインとギレーヌ・マクスウェルに関わる捜査上の問題を調査している。
ルナ氏の投稿によれば、「被害者らの弁護士が挙げた国には、サウジアラビア、ロシア、イスラエル、そしてブッシュ政権時代のCIA長官の名前も含まれている」という。彼女は「調査は極めて大規模かつ複雑であり、最終的な目的は被害者への正義の実現だけでなく、犯罪の疑いがある者を司法省に告発させることにもある」と強調している。
一方で、被害者や関係者の多くはトランプ元大統領の関与を否定しているとも指摘する。2022年の中間選挙でトランプ氏の支持を受けて当選したルナ氏は、ラシュモア山にトランプの彫刻を建立する法案を提出するなど、MAGA派の議員として知られている。
エプスタインは政界・財界・芸能界の著名人と幅広い人脈を持ち、資金の出所が不透明で、プライベート島に監視カメラを多数設置していたことから、外国のスパイ活動に協力していたとの疑惑もある。イスラエルの情報機関と深い関係を持つとされるマクスウェルの父ロバート・マックスウェルとの仕事関係や、英国のアンドリュー王子の私人情報をイスラエル、サウジアラビア、リビアの情報機関へ提供していたとの主張もある。元イスラエル首相エフード・バラクが2016年にエプスタインの豪邸を訪れた写真の存在も報じられている。
また、2019年にマンハッタンの拘置所で自殺とされたが、死亡時に看守二人が居眠りしていたなど不可解な点があり、真相隠蔽を疑う声や「事故」「暗殺」の説を生んでいる。
これらは憶測や推測にとどまり、確定的な証拠は公表されていない。
また、議会では超党派でエプスタイン関連の機密資料公開を推進する法案の署名活動が進められている。共和党のトーマス・マシー議員(ケンタッキー州)と民主党のロー・カンナ議員(カリフォルニア州)が主導し、本会議での法案成立には218人の署名が必要だが、現時点で215人の署名が集まっている。しかし共和党指導部やホワイトハウスの圧力により支持は揺らぎ、成立は厳しい情勢となっている。