元英スパイ トランプ氏の「おしっこテープ」おそらく存在する

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イギリスの情報機関MI6の元エージェント、クリストファー・スティール氏は、abcニュースのインタビューで、2016年に作成したトランプ陣営とロシアとのつながりを調査した報告書「スティール文書」の正当性を擁護した。

インタビューは、18日にHuluで配信されるドキュメンタリー「Out of the Shadows: The Man Behind the Steele Dossier」の一環で、配信に先駆けて一部が公開された。

スティール文書は、2016年の大統領選に際し、調査会社フュージョンGPSの依頼で、スティール氏がまとめた一連の調査レポート。同社はヒラリー・クリントン氏と民主党全国委員会から敵陣調査の依頼を受けていた。

文書は後に、FBIによって、トランプ陣営のカーター・ペイジ元外交顧問に対する外国諜報活動偵察法(FISA)に基づく捜査令状申請に使用された。このことから、ロシア捜査は政治偏見に基づく「魔女狩り」とするトランプ氏の主張の根拠ともなった。

インタビューに応じた理由を「誤解を解くため」と述べたスティール氏は、「われわれが行った仕事、使用した情報ソース、調査に用いたプロ意識を固守する」と、報告書の正当性を主張した。

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トランプ氏の元弁護士マイケル・コーエン氏が、2016年8月にプラハでロシアの政府関係者と密会したとの疑惑に関して、スティール氏は「文書のすべてが100%正確ではないことを認める心の準備はできている」としつつ、密会の情報が不正確だという主張は納得できないと話した。

疑惑については、トランプ氏と袂を分かったコーエン氏本人が繰り返して否定しているほか、ロバート・モラー特別検察官は、2019年4月に公表したロシア捜査報告書で、コーエン氏がプラハを訪れたことは一度もないと報告した。またマイケル・ホロウィッツ司法省監察官も同年12月、文書の報告は誤りだと指摘している。

スティール文書が公にされた際、世間の関心が集まった「おしっこテープ」について、100%確実とは言えないとしつつ、「おそらく存在する」と話した。

スティール氏は、情報筋の話として、トランプ氏が2013年にミスユニバース大会のためにモスクワを訪れた際、リッツカールトンのスイートで売春婦を大勢呼んで「ゴールデンシャワー(おしっこ)ショー」見物したと報告した。理由について、オバマ夫妻が訪露の際に同じ部屋に泊まったことを知っており、夫妻を嫌っていたトランプ氏が、ベッドを汚そうとしたと説明。ホテルは、FSB(連邦保安庁)の管理下にあり、隠しマイクやカメラが設置されていることで知られており、ロシアの元情報職員が、この出来事を含めて、トランプ氏をゆするのに十分な材料をロシア側が持っていると主張していると報告した。

トランプ氏は疑惑を繰り返し否定しており、先週も寄付者らへの演説で「ゴールデンシャワーに興味はない」と話したと報じられている。

また先述のホロウィッツ氏は疑惑を「噂や憶測」に過ぎないと結論づけており、モラー氏も、テープが存在する証拠はなかったとしている。

なぜこれまでテープが公開されてこなかったのかと聞かれると、スティール氏は「公開の必要がなかった」と説明。「ロシア側は、トランプ氏が大統領になったことで、高い価値を得たと感じたのだと思う」と答えた。