元コカ・コーラの化学者、企業秘密を盗難。高まる中国スパイ活動の脅威

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テネシー州グリービルの連邦地方裁判所は、コカ・コーラに務めていた女性の化学者に、企業秘密の盗難や経済スパイを行なったとして、禁錮14年の刑を言い渡した。

刑を宣告されたのは、ミシガン州在住のシャオロン・シャノン・ユー(Xiaorong Shannon You)被告(59)。司法省の発表によると、ユー被告は、飲料缶の内側のBPAフリーコーティングの製法に関する企業秘密を盗み出した。

裁判所に提出された資料によると、秘密にアクセスが許可されたのは、アトランタにあるコカコーラ社と、テネシーにあるイーストマン・ケミカルに勤務している間だった。これらの秘密は、アクゾノーベルやBASF、ダウケミカル、PPG、トーヨーケム、シャーウィン・ウィリアムズ、イーストマン・ケミカルといった大手化学またはコーティング関連企業に属するもので、開発費用は1億2,000万ドル(150億円)近くに上るものだという。

ユー被告が秘密を盗んだのは、中国にBPAフリーコーティング企業を設立するためで、パートナー企業(Weihai Jinhong Group)とともに、中国政府から、新会社設立のための資金数百万ドルを受け取っていたことも判明した。

ユー被告が中国政府に提出した助成金の申請書からは、パートナー企業の利益のためだけではなく、中国政府や山東省、威海市、中国共産党のためでもあったことが示されているという。

ユー被告は2012年から2017年にかけて、コカ・コーラのグローバルリサーチで首席エンジニアを務めており、関連分野における幅広い教育と経験から、アクゾノーベルなど先述の企業群の企業秘密にアクセスを許された限られた人材の一人だったという。その後2017年から翌年まで、イーストマン・ケミカルに勤務していた。

司法省国家安全保障局のマシュー・G・オルセン司法次官補は声明で「被告人は、貴重な企業秘密を盗み、それを、外国企業だけでなく、中国政府にも利益をもたらすために使用しようとした」と指摘。「本日の判決は、犯罪の深刻さと、米国企業の知的財産を盗んだものを調査、訴追することで国家の安全保障を保護する司法省のコミットメントを反映したものだ」と強調した。

先月、CBSのインタビュー番組に出演した米連邦捜査局(FBI)のクリストファー・レイ長官は、外国のスパイ活動について、「中国、特に中国共産党が、国家にとって最大の脅威」と述べ、中国は、イノベーションから企業秘密、知的財産など、米国の経済分野のほぼ全セクターを標的にしていると説明。ハッキング活動の規模は「他の主要国全てを合計したよりも多い」とし、アメリカ人の個人データと企業データが盗まれていると警告した。