カリフォルニア州議会で新法案可決 ギグワーカーの請負業者分類を困難に

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カリフォルニア州議会上院は10日夜、ギグエコノミー企業による労働者の扱いに変更を迫る法案「Assembly Bill5(AB5)」を可決した。

AB5は、企業が労働者を独立した請負業者として扱うことを難しくするもので、ギャビン・ニューサム州知事が承認した場合、ウーバーやリフトといった多くのドライバーを請負業者として抱える企業に大きな影響を与える。州知事は支持する姿勢を示しており、署名する可能性が高いと見られている。

成立した場合、新法は2020年1月から施行される。法案によると、企業が労働者を請負業者に分類するためには一定の条件(通称:ABCテスト)をクリアしなければならない。条件には、労働者が企業の指揮命令から自由であることや、従事する仕事が事業の通常の業務範囲外であることなどが含まれる。これらに該当しない場合、従業員として雇用する義務が生じ、企業側は最低賃金のほか、有給休暇、超過時間手当、労災保険など多大なコストを伴う保護を提供しなければならない。また労働者が団結する権利を保障しなくてはならない。

法案の通過を受け、ウーバーのトニー・ウエスト(Tony West)最高法務責任者はメディアに対し「ABCテストは、独立労働者が真に独立しているかを証明する企業にとって高い障害となる」と述べつつ、「テストが厳しいからといって、われわれがそれを通過できないということにはならない」と、ドライバーの現在の分類を維持できる考えを示唆。

「われわれはドライバーが独立請負業者に正当に分類されると考えており、大半のドライバーがフレキシビリティを望んでいると述べていることに対応する為、運転手は来年1月以降も、自動的に従業員に分類変更されることはない」と語った。

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また、多くのドライバーが競合他社で同時に働いていることなどに触れ、「われわれは、20万人のカリフォルニアのドライバーが現実に持つこの種の選択とフレキシビリティ、独立性を可能とする革新を守りつづける」と語った。

加えて、AB5の適用反対を州民投票にはかるために、リフトとともに6,000万ドルを選挙運動委員会に移したとし、「最高のキャンペーンチームを雇い、AB5によって不確実性に直面する他のビジネスを含む同盟の拡大に取り組んでいる」と表明。「カリフォルニアの有権者と数百万人の利用者、ドライバーがこれら重要な仕事の機会を保護するために力を注ぐと確信している」と語った。

法案はギグエコノミー企業だけでなく、ビルの清掃員や港湾で荷下ろしをするトラック運転手、建設労働者、ネイリスト、ナイトクラブのストリッパー、ソフトウェアプログラマーなど、幅広い職業に影響を与えると見られている。CNBCは、AB5によって100万人以上の労働者の分類が変更される可能性があると指摘している。さらに、ニューヨークでもドライバーの待遇の改善をもとめる声は強く、他州でカリフォルニアに追随する動きがでる可能性がある。