「邪悪な勢力」バイデン氏 大学卒業式スピーチでトランプ氏を攻撃

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13日、首都ワシントンにあるハワード大学の卒業式でスピーチを行ったバイデン大統領は、2020年選挙戦からのテーマ「国家の魂を賭けた戦い」に触れる中で、若い有権者らに「祖国の最大のテロリストの脅威は白人至上主義だ」と訴えた。

先月に大統領選への再選出馬を表明したバイデン氏は、歴史的黒人大学の有名校の学生を前に、「われわれは歴史上最も重要な瞬間に生きている」と主張。「国家にとって根本的な問題が突きつけられている」と述べた後、2017年に白人至上主義団体と反対派が衝突し、死者を出す事態に発展したシャーロッツビル事件に言及。「怒りに満ちたネオナチが、たいまつを持って、野山から、ヨーロッパで30年代に聞かれたのと同じ反ユダヤ主義を叫ながら現れた。アメリカで二度と見るとは思っていなかったものだ」と語った。

名指しはしなかったが、事件後のトランプ前大統領の発言に触れた上で、「正義への前進」は「最も邪悪な勢力からの猛烈な反発を受ける」と唱えた。

トランプ氏は当時「どちらの側にも良い人はいる」と述べたことで、白人至上主義を容認したと非難が集中。全国的な抗議運動に発展した。

「ヘイトが決して消えることはない。 岩の下に隠れるだけだ。 酸素を与えられると、その岩の下から出てくる」と話し、「われわれは、この国の魂を賭けた戦いを生きている」と主張。「祖国に対する最も危険なテロ脅威は白人至上主義」と述べ、「民主主義を投票用紙に記載すること。過激主義を否定し、政治的暴力を拒否すること」と、投票を呼びかけた。

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バイデン氏には、2020年大統領選で勝利の鍵を握った黒人有権者について、熱意の低下が指摘されている。前回は黒人の投票者の90%がバイデン氏を支持したが、エコノミストとYouGovが今月実施した世論調査では、黒人の成人の間で、バイデン氏の再出馬を望む声が過半数が下回った。

バイデン氏はスピーチの中で、皆さんの投票で、黒人女性として初めての最高裁判事を誕生させるという公約を果たすことができたと強調。「彼女は誰よりも聡明だ」と加えたほか、故ジョージ・フロイド氏の遺族立ち会いのもと、警察取り締まりに関する大統領令に署名した点などもアピールした。

会場では度々拍手が起きたが、政治色の濃い演説に、一部の保守派から分断を煽っていると批判の声が上がった。

経済教育財団のエディターだというジョン・ミルティモア氏はツイッターに「民主党は19世紀と20世紀の大半を、選挙に勝つためにあからさまな人種差別を利用してきた。21世紀に入っても人種差別を繰り返している」と指摘。「差別は19世紀のものとはかなり違うのだが」と加えた。

ジャーナリストのジュリー・ケリー氏は、バイデン氏を「危険な人種分断を助長するためにメディアに支えられた病的なまでの嘘つき」と批判した。