ソウルの女王 アレサ・フランクリンさん76歳で死去 偉大なる功績を振り返る

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16日(木)朝、米シンガーのアレサ・フランクリン(Aretha Franklin)さん(76歳)がデトロイトにある自宅で死亡したことを、各メディアが一斉に報じた。

親族は声明で「私たちの最も悲しいできごとに、心の痛みを伝えるふさわしい言葉がみつかりません。私たちは、家族の柱であり、心のよりどころを失ってしまいました。」と述べた。
また、広報担当者を通じて、死因がすい臓がんであることを発表している。

アレサ・フランクリンさんは、今週初めに危篤状態であることが報じられていた。

ソウルの女王 アレサ・フランクリン

アレサ・フランクリンさんは、1942年、「100万ドルの声」と呼ばれた、20世紀中期において最も著名なバプティスト派の牧師であったC.L. Franklinさんのもと、テネシー州メンフィスに生まれた。生後、デトロイトに移り、父親のNew Bethel Baptist Churchで歌唱をスタートした。

1956年、14歳でファーストアルバム「Songs of Faith」をリリース。
1960年には、コロンビアレコード(Columbia Records)と契約し、教会音楽からR&B音楽などの大衆音楽に転向。1966年にアトランティックレコード(Atlantic Recording)に移籍し、数々のヒット作品をリリースすることとなる。

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1967年に発表した「貴方だけを愛して I Never Loved a Man (The Way I Love You)」がR&Bチャートで1位を獲得。さらに、同年4月には、同アルバムからオーティス・レディングのカバー曲「リスペクト」(Respect)をシングルリリースし、ポップチャートの全米1位を獲得した。
のちに、ローリングストーンマガジンは同曲を史上5番目に偉大な曲に選出している。また、「リスペクト」は公民権運動と女性の社会進出運動の賛歌となり、人々に愛されたほか、アレサ・フランクリンさんにとって、初めてのグラミー賞受賞をもたらした。
アレサ・フランクリンさんは、暗殺されたキング牧師(Martin Luther King, Jr.)の葬儀で「リスペクト」を歌っている。

その後、「チェイン・オブ・フールズ」(Chain of Fools)、キャロルキングの「ナチュラル・ウーマン (You Make Me Feel Like) A Natural Woman」を収めたアルバム「レディ・ソウル Lady Soul」、「シンク Think」 「小さな願いI Say a Little Prayer」といったヒット曲を収録した「Aretha Now」などのアルバムで金字塔を打ち立てる。1972年には、自身のゴスペルのルーツに立ち戻ったダブルプラチナアルバム「Amazing Grace」を発表している。

1970年代には、「スパニッシュ・ハーレム」(Spanish Harlem)や、「明日に架ける橋」(Bridge Over Troubled Water)などがヒットする。

70年後半にはブームは下火となるが、80年代には、「Freeway of Love」を収録したアルバム「Who’s Zoomin’ Who」で復活を遂げた。また、英国のアーティスト、ジョージ・マイケル(George Michael)とのコラボレーションを行った「I Knew You Were Waiting (for Me)」は、大ヒットし、トップチャートに返り咲いた。

アレサ・フランクリンさんは生涯で18回のグラミー賞を受賞。1987年には、女性として初めてロックの殿堂入りを果たしている。その他、アメリカ音楽賞(American Music Awards)3回、NAACPイメージ・アワード(NAACP Image Awards)を3回受賞するなど、輝かしい功績を残した。
1992年のビル・クリントン(Bill Clinton)の大統領就任式でパフォーマンスを披露。2005年にはジョージ・W・ブッシュ大統領から大統領自由勲章を授与された。2009年のオバマ前大統領就任式で「マイ・カントリー・ティズ・オブ・ジー America, My Country, ‘Tis of Thee」を捧げた。2016年のNFLサンクスギビングデーゲームで4分半に渡り熱唱した「星条旗よ永遠なれ」はインターネットで大きな反響を呼んだ。

2009年オバマ大統領就任式で「マイ・カントリー・ティズ・オブ・ジー America, My Country, ‘Tis of Thee」を祝唱。

2015年には、ケネディ・センター名誉賞の祝賀公演に登場し、「ナチュラル・ウーマン」”(You Make Me Feel Like) A Natural Woman” をキャロル・キングさんに捧げた。衰えることのない力強いのパフォーマンスに、オバマ大統領が涙する場面が話題となった。

フランクリンさんは今年初め、休息をとるよう医師から指導を受けていた。このため、3月に予定していたニュージャージー州ニューアークでの76歳を記念するコンサートや、4月のニューオーリンズ・ジャズ&ヘリテッジ・フェスティバルの舞台をキャンセルしていた。フランクリンさんは、昨年、選ばれたものを除いて、引退をする意向を表明していた。昨年11月には、エルトン・ジョンさんのエイズ基金25周年柄パーティーに登場し、「小さな願い(I Say a Little Prayer)」や「フリーウェイ(Freeway)」といったヒット曲を披露した。

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