NYCトランジットのトップ「トレイン・ダディー」が辞任を発表

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23日、ニューヨークの地下鉄及びバスを運営するNYCトランジット(NYCT)のトップ、アンディ・バイフォード(Andy Byford)氏が、来月21日に辞任することを発表した。

英国生まれのバイフォード氏は、複数の輸送交通システムに携わり、2年前にNYCTのプレジデントに就任した。非常事態宣言が出された地下鉄の信号を全面的に改良し、近代的なシステムに立て直すため「ファスト・フォワード」(Fast Forward)と名付けた改良計画を発表。
2018年に58パーセントだった定時運行率を80パーセントへと向上させた。また史上最大規模の515億ドル(約5兆5,400億円)を費やす設備投資計画案を支援するなど、地下鉄の顔となった。

「トレイン・ダディー」(Train Daddy)のニックネームで親しまれたバイフォード氏の突然の辞任発表は多くの人を驚かせた。

辞任の一報を報じたPoliticoは、アンドリュー・クオモ(Andrew Cuomo)ニューヨーク州知事との確執によるものだと述べている。

ハリケーン「サンディ」の洪水で被害を受けたカナーシー・トンネル(Canarsie Tunnel)修復工事では、工事開始の数ヶ月前にクオモ州知事が指揮を取り、当初計画していたLトレインを全面閉鎖ではなく、一部閉鎖とする変更を電撃発表した。この際バイフォード氏は、クオモ州知事に細かく管理されていることへの不満を示していたという。また最近のMTAの再編成によって、改良プロジェクトを管理することができなくなった。提出した辞表の中でも「日常業務を回すためのサービス」へと任務が削減されたことを述べている。
昨年10月にもバイフォード氏は辞職を提出したが、その後撤回している。

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辞任の発表を受け、ビル・デブラシオ(Bill de Blasio)ニューヨーク市長は「地下鉄とバスの利用者にとって、大きな損害だ。MTAに彼ほど必要な人物はいない。」とツイートした。

コリー・ジョンソン(Corey Johnson)市議会議長も「真面目に、これは危機だ。アンディーとチームを失うと、これまでの成果を失うことになりかねない。」と#BringAndyBackのハッシュタグをつけて、撤回を求めた。2021年に市長選に出馬を検討しているジョンソン議員は、交通システムを州ではなく、市が管理するべきだと主張している

ニューヨークタイムズの論説委員会は、バイフォード氏の野心的な見直し計画はまだ終わっていないとし、実行する義務を負っているのはクオモ知事だと述べている。