トランプ支持者に共通する“ダークな性格”?──米研究が明かす驚きの心理傾向

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psychological study

米研究者らがトランプ支持者の心理的特性を調べたところ、ちょっと怖い傾向が見られた。

調査を行ったのはノーステキサス大学の心理学者クレイグ・ニューマン博士ら。対象は、オンラインで集めた米国の男性1,000人(このうち3分の1が人種マイノリティ)と男女8,000人の合計約9,000人。彼らは政治的態度、性格特性、共感性などについての質問票に回答した。

この研究を紹介したPsyPostによると、まず男性1,000人を対象にした調査では、社会的支配志向、権威主義傾向、サイコパシー傾向の3つの特性と保守イデオロギーまたはトランプ支持との間に強い結びつきがあることがわかった。これは特に白人男性に顕著で、マイノリティ男性では、サイコパシー傾向と政治イデオロギーとの関係は弱かったという。

さらに、共感性に関する特有のパターンも浮き彫りになった。トランプを支持しない人々と比較すると、トランプ支持の男性は、情緒的共感(他者の苦しみに対する感情的な思いやり)が低く、逆共感(他者の苦しみに対して快感を覚える傾向)が高かった。

2つめのサンプル(男女8,000人)では、研究者たちは「人格の基本的傾向」ーー善意的傾向(benevolent traits)と悪意的傾向(malevolent traits)――が政治的信念とどのように関係しているかに着目した。結果として、他者の尊厳や価値を重視するなど、善意的な特性を強く持つ人々は、リベラルな見解を持ち、トランプを否定的。反対に、操作的、利己的、感情的に冷淡といった悪意的な特性を持つ人々は、トランプを支持し、保守的な立場にある傾向があった。

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トランプを好意的に評価した人々は、悪意的特性のスコアが高く、善意的特性のスコアが低い。つまり、トランプ支持者は、マキャベリズム(目的のためには手段を選ばない)、ナルシシズム、サイコパシーといった性格特徴が強く、これらは他人を操作する傾向、自分への特権意識、感情的な冷淡さ、反社会的行動などを意味するのだという。

ニューマン博士は、「近年の研究と同様、われわれの調査結果も、悪意的(回避的)な性格傾向と保守的な政治的イデオロギー(トランプに対する肯定的評価を含む)との関連を示している。さらに、悪意的な性格傾向を持つ人々は、同様に悪意的な特性を持つ政治家を好意的に見る傾向があることも示された」と語っている。

冷淡で、他人を操作し、他者の苦しみに快感を覚えるといったダークな性格。記事のコメント欄には、不快に感じたトランプ支持者からこんな反論が寄せられている。

「私はトランプ支持者だけど、ここで言われているような人物ではない。教会に通い、家族のために祈り、トランプのために祈る。フルタイムで働き、運動し、正しい食生活を送り、水をたくさん飲む。この世界で良い行いをするために最善を尽くしている」。

教会に通って水をがぶ飲みする。あさっての方向の主張に聞こえるが、別のトランプサポーターからは「トランプ支持者は共感と愛国心のバランスをとっているのだ。節操のない共感は国境開放につながる」と正当化する声も上がっている。

一方、研究内容を補強するような声もある。

「熱心なMAGAがいつも叫んでいることに気づいた人はいるだろうか?アレックス・ジョーンズを考えてみて。兵隊や取締官以外で、普通の人間が機関銃を持つ必要なんてあるか?私は人生の大半を田舎で過ごしてきて、MAGAの人たちをたくさん知っている。精神的な問題を抱えている人が少なくない」

「彼らは、自分たちが得るべきものを騙し取られたと考える傾向があり、そのため他の誰かがやられるのを見るのが大好きだ。移民問題を考えてほしい。彼らの99.9%は、不法移民との間に実際にネガティブな体験をしたことなどない。それでも誰かがいじめられているのを見て、仕返しが果たされたと感じるんだ」

「驚くべきことではない。毎日目の当たりにしているんだから」

両者がうまくつきあうにはどうしたらよいか。次はそんな研究に期待したい。

ソースScience Direct