米同時発テロ事件の遺族 追悼式典でオマール下院議員の発言を非難

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2001年に起きた米同時多発テロの追悼式典が11日、ロウアーマンハッタンの9/11メモリアルで開催された。式典中に犠牲者の名前を読み上げる際、遺族の1人が、イスラム教徒のイルハン・オマール(Ilhan Omar)下院議員(民主・ミネソタ州)の発言を非難する場面があった。

オマール議員を非難したのは、ニコラス・ハロス・ジュニア(Nicholas Haros Jr.)さん。ニコラスさんは、18年前、ワールドトレードセンターにいた母親のフランシスさん(当時76歳)をテロ事件で失った。

ニコラスさんは、オマール議員の発言「Some people did something」(誰かが何かをした)というメッセージの描かれた黒いTシャツを着て登壇した。

母親を含む犠牲者の氏名を読み上げた後、ニコラスさんは「今日私は、誰が誰に対して何をしたかを正確に伝えるために、やってきました。」と述べた。続けて、オマール議員に対し、「われわれは誰が何をしたかを知っている。それには疑問の余地がない。なぜあなたは混乱しているのか?」と問いかけた。

「あの日、アルカイダのイスラム教のテロリスト19人が、3,000人を殺害し、何十億ドルもの経済的損害を与えた。これは明確なことではないか?」と述べた後、「誰に対してか? 私が攻撃された。そして、あなたの親族や友人が、憲法の自由が攻撃され、ユダヤ教とキリスト教の原則から成る国家の基盤が攻撃を受けた。お分かりですか?」と語った。

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ニコラスさんの発言に対し、SNSでは愛国的だと称賛する意見がある一方、追悼式典にふさわしくない発言だと非難する声も見られる。

ニコラスさんの発言に対し、オマール議員は「自身のスピーチは、9/11後、イスラム教徒である、われわれの人権擁護へのアクセスが侵害されていることを語ったものだ。私が使用する言葉を批判する、ある種のレンズや特定のバイアスがあると思っている。これらは対話によって取り除くことができると思う。」とUSATodayにコメントを寄せた。

なお、ニコラスさんは昨年登壇した際、「愛する人の遺灰を政治劇の小道具として使用するのはやめるよう」と呼びかけていた。

問題となったオマール議員の発言内容

オマール議員は3月、アメリカ-イスラム関係協議会(Council on American-Islamic Relations、CAIR)に出席し、「911後われわれは、二流市民として不快な気分で長らく生きてきた。率直に言って、もううんざりだ。この国に住む全てのイスラム教徒はそう思うべきだ。CAIRは911後に創設された。なぜなら、”誰かが何かを行い”、人権擁護へのアクセスを失い始めたことが分かったからです。」と語った。
「誰かが何かを行った」という発言は、保守派のFOXニュースやNYポストを中心に、テロ攻撃を軽んじる発言だと批判が相次いだ。また、CAIRは911以前に既に創設されていたことも指摘されている。
これらの批判に対し、民主党議員らからは、発言は文脈から切り取られたものだと反論した。

その後、トランプ大統領が、オマール議員の発言とテロ事件の映像を編集したビデオをツイートした。この影響から、オマール議員には相次いで脅迫状が寄せられる騒ぎに発展していた。