文化交流は正当化できるか:ウディ・アレン、ロシア映画祭出演で炎上

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Denis Makarenko / Shutterstock.com

ニューヨークを舞台にした『アニーホール』『マンハッタン』などで知られる映画監督ウディ・アレンが、モスクワ国際映画祭にビデオ出演したことを受け、ネットでは厳しい批判が巻き起こっている。

AP通信によれば、アレンは日曜日、同映画祭のセッションにオンライン参加。モデレーターは映画監督フョードル・ボンダルチュクで、2014年にクリミア併合を擁護するなどプーチン支持で知られる人物でもある。アレンは発言の中で、ロシア映画への長年の敬愛や過去の訪問経験を語り、もし機会があればロシアで作品を撮る可能性にも言及した。

しかし、この出演は各方面から激しい反発を招いた。ウクライナ外務省はX(旧ツイッター)で「恥ずべき行いであり、殺害された俳優や映画人への侮辱だ」と非難。「文化は犯罪の隠蔽やプロパガンダの道具に利用されてはならない。モスクワの血塗られた映画祭を出演して祝うというウディ・アレンの判断を強く非難する」と声明を発した。ウクライナ議会のキラ・ルディク議員も「戦争国家を選んだ監督には国際的キャリアの終わりが待つ」と強く批判した

SNSユーザーからも批判の矢が飛んだ。
「言論弾圧とプロパガンダの国ロシアで講演するのは悲劇だ。芸術を隠れ蓑に戦争犯罪を正当化する行為だ」
「性的スキャンダルには中立でいたが、今回は深く失望した」
「これで彼のキャリアが終わればいい。養女への性的行為に加えて今回の行動で、彼はもはや“怪物”だ」

一方、アレンはAP通信などに声明を出し、「ウクライナ侵攻においてプーチンが完全に間違っているのは明白だ。戦争は恐ろしい。しかし政治がどうであれ、芸術的な対話を断ち切ることは望ましい方法ではない」と反論。擁護派からも「文化と芸術は最後に残された橋だ」とする声が出ているが、少数派にとどまっている。

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アレンは半世紀にわたり数々の名作を発表してきたが、2017年の#MeTooムーブメント以降、過去の養女への性的虐待疑惑が再燃し、公開中止やキャリア低迷に直面していた。今回の出演は、イメージ回復をさらに遠ざける結果となりそうだ。