メラニア社長説も、NY裁判判決でトランプ一族企業の行方は?

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16日に出されたニューヨーク州の民事裁判の判決を受け、トランプ一族の企業のこれからに関心が高まっている。

トランプ氏やその関連企業が有利な融資条件を得るために、金融機関に資産価値を偽っていた問題で、ニューヨーク郡裁判所のアーサー・エンゴロン判事は、トランプ氏と企業に約3.55億ドル(530億円)の支払いを命じる判決を下した。

金銭的代償に加えて、判事はトランプ氏と元財務責任者らに今後3年間、ニューヨーク州内の企業の「役員および取締役」に就任することを禁止するとした。さらに、長男ジュニア氏と次男エリック氏にも同様の制限を2年間課すとした。トランプ氏が大統領に就任した2017年以降、二人が共同CEOとなり、アレン・ワイゼルバーグ最高財務責任者とともにトランプオーガニゼーションの日々の運営を監督していた。

幸いなことに、事業終了の危機は免れた。判事は昨年9月の略式判決で、トランプオーガニゼーションをはじめとする企業の事業証明書を取り消し、解散を管理する独立した管財人を指名するよう命じていた。今回の判決では「今後は独立した監督官と独立したコンプライアンスディレクターによる2段階の監督が行われるため、営業許可の取り消しは必要なくなった」と撤回の理由を説明。「当法廷はここに修正を加える」とした。

判事の命令によると、バーバラ・ジョーンズ元連邦地裁判事が少なくとも3年間「独立監督官」を務め、財務報告上の法令遵守と適正な経理手続きを確立するために、コンプライアンスディレクターをトランプ氏側の負担で設置しなければならない。

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これに加えて、トランプ氏の企業は今後3年間、ニューヨーク州に登録する金融機関に融資を求めることが禁じられた。

判決を受け、トランプ氏はTruth Socialのアカウントを更新し、「政敵に対する(司法の)兵器化」と非難。「いんちきニューヨークの判事、完全に腐敗した司法長官」などと罵詈雑言を並べ、「上訴して戦い続ける」と宣言した。

メラニア社長の可能性は?

メラニア夫人
©MashupReporter

控訴審で判決が覆らなければ、一族企業は経営陣を入れ替えて再出発することになるが、そうした場合でも、外部の人材ではなく経営を別の「トランプ」に頼る可能性が取り沙汰されている。

ワシントンポスト紙は、今回被告から除外された長女イヴァンカ氏や夫のクシュナー氏、さらにメラニア夫人が興味を持つだろうと予想している。

イヴァンカ氏は、トランプ政権の上級顧問になる前の約10年間、トランプオーガニゼーションの幹部を務め、ファッションビジネスやゴルフ場開発の資金調達に携わった。夫のジャレッド・クシュナー氏も不動産開発事業の経験がある。

メラニア夫人の名は、すでに9月の略式判決の際、事業の継承者になる可能性が取り沙汰されていた。

ホワイトハウスで夫人の首席顧問を務めたステファニー・グリシャム氏は当時、ニューズウィークの取材で、「重大な権限が約束されなければそれほどの重責を担うかわからない」とする一方で、最終的に息子のバロンくんが引き継ぐことを見据えて、夫人が役割を担う可能性もあるとした。ただし「お金を失ったり、税金の支払いに追われるようであれば、何もしないだろう」と加えた。

ちなみにトランプ氏は、パートナーにビジネスを任せたことを後悔した過去がある。1992年に一人目の妻イヴァナさんと離婚した際、インタビューに「大きな過ちを犯した。イヴァナをビジネスの世界に置いた」と述べ、夫婦の会話が仕事の確認事項ばかりとなり「ビジネスパートナーと結婚したようだった。これが結婚を傷つけた」と破局の理由を語った。

トランプ家にボスは二人も要らないのかもしれない。大統領選に加え、一家のリアリティドラマにさらなる注目が集まりそうだ。