極悪ギャングボス ジェームズ・バルジャー刑務所殺害事件、3人を起訴

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ウエストバージニア州北部地区連邦検事局は18日、全米に悪名を轟かせた元ギャングのボス、ジェームズ・バルジャー元受刑者が収監中の刑務所で殺害された事件に関して、当時同施設に服役していた3人の男を起訴したと発表した。

バルジャー元受刑者(当時89歳)は2018年10月30日、移送されたばかりのウエストバージニア州のヘイゼルトン連邦刑務所で大量に出血して倒れているところを発見された。警備員がただちに救命措置をほどこしたが、まもなく死亡した。激しい暴行を受けており、頭から目がはずれていたという。事件後、受刑者2人がただちに独房に移され、このうちの一人は、マフィアのヒットマンで、今回起訴されたフォティオス・ギアス被告だと報じられていた。

18日にギアス被告(55)ともに起訴されたのは、ポール・J・デコロジェロ被告(48)とショーン・マッキノン被告(36)。

検察はギアス被告とデコロジェロ被告が、バルジャー元受刑者の頭部を複数回殴打し、死なせたとしている。二人は共謀罪や幇助罪、重傷を負わせた暴行罪で、マッキノン被告は偽証罪で起訴された。

ジェームズ・バルジャーとは?

ニューヨークタイムズによると、ホワイティーの愛称で知られるバルジャーは1929年生まれ。6人兄弟の2番目の子供で、サウスボストンの公営住宅で育った。若くして犯罪に手を染めはじめ、1956年にマサチューセッツ州とロードアイランド州、インディアナ州で銀行強盗をはたらき、アルカトラズを含む3つの刑務所で9年間服役した。

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釈放後、サウスボストンに戻り、アイリッシュ系の犯罪組織「ウィンター・ヒル・ギャング」のトップに上り詰めた。その後、部下スティーヴン・フレミと手を組み、70年代から80年代にかけて様々な犯罪に手を染め、数多くの殺人事件に関与した。この一方で、1970年代中盤、二人はFBIの情報提供者としても活動し、捜査官だったジョン・コノリーに協力した。1994年にコノリーから自身が起訴間近であることを聞かされると、ボストンから逃亡した。

バルジャーには当時200万ドルの懸賞金がかけられ、FBIの最重要指名手配10人とされた。

16年間の逃亡生活の末、カリフォルニア州サンタモニカで身柄を拘束された。すでに81歳を迎えていたバルジャーは、長年の交際相手キャサリン・グレイグとともに、ビーチ近くにある賃料の低いアパートに暮らしていた。

2013年に殺人11件、強要、マネーロンダリングなどで有罪とされ、2回の終身刑を言い渡された。

受刑態度に問題があり、フロリダ州のコールマン刑務所では、男性スタッフの目の前でマスターベーションをするなどして、複数回の懲罰を受けた。女性スタッフに「最後の審判が下る」などと脅し、独房に監禁された後、オクラホマ州の施設へと移動。ヘイゼルトン刑務所に移動してきたのは、事件の前日だった。

ヘイゼルトンへの移送について、バルジャーの遺族は意図的に死に追いやられたとして、連邦刑務所局と従業員30人を連邦裁判所に提訴したが、今年1月に却下されたという。

なおバルジャーは、マーティン・スコセッシ監督の映画「ディパーテッド」でジャック・ニコルソンが演じたギャングのボス、フランク・コステロのモデルにされている。