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全国に悪名を轟かせた元ギャングのボスでFBIの情報提供者でもあったジェームズ・バルジャー元受刑者(89歳)が、移送されたばかりの刑務所で殺害された事件で、殺害に関与したとして起訴された受刑者らは、バルジャー氏が移送されてくる情報を事前につかんでいたことがわかった。

2013年に殺害11件、強要、マネーロンダリングなどで終身刑を言い渡されたバルジャー氏は、2018年10月29日に以前の刑務所からウエストバージニア州のヘイゼルトン連邦刑務所移送された翌日、大量に出血して倒れているところを発見され、その場で死亡が確認された。

以前の刑務所では、密告者や小児性愛者といった他の受刑者からの保護を必要とする房に収監されており、事件後、国内で最も暴力的とされるヘイゼルトンの一般房に移送された経緯をめぐり、疑問の声があがっていた。

今月18日、ウエストバージニア州北部地区連邦検事局はバルジャー氏の殺害に関与したとして、当時同じ刑務所に服役していたフォティオス・ギアス被告(55)、ポール・J・デコロジェロ被告(48)とショーン・マッキノン被告(36)を起訴した。

ボストングローブによると、22日に行われた審問で、検察官は事件のタイムラインなど、これまで公にされていなかった詳細を示した。

バルジャー氏がヘイゼルトン刑務所に到着し、部屋に案内されたのが午後8時30分。翌朝5時、房をともにしていたギアス被告とマッキノン被告が、デコロジェロ被告とミーティングを行い、この数分後に部屋を後にした。

午前6時、朝食の時間になるとユニットのすべての監房の鍵が解錠された。この6分後にギアス被告とデコロジェロ被告がバルジャー氏の部屋に入り、数分間滞在した。この間、マッキノン被告はバルジャー氏の部屋と看守部屋の両方が見張ることができる机に座っていた。6時13分に二人は部屋を出て、マッキノン被告とともに自らの監房に戻った。

バルジャー氏が死亡しているのが発見されたのは午前8時7分だった。

検察によると、ギアス被告とデコロジェロ被告は、他の受刑者らに「石をつけたベルト」を使ってバルジャーを殴打、殺害したと告白しており、マッキノン被告も見張り役をしたことを認めていた。

告白をうけた受刑者の一人は、「デコロジェロからバルジャーは密告者だと告げられた」と証言しており、デコロジェロ被告は、バルジャーの到着を確認した直後に殺害計画を立てたと話していた。

審理中、事件前日にマッキノン被告と母親の間で交わされた通話のトランスクリプトが読み上げられ、「有名な奴がくる準備をしている」「名前を知っておいた方が良い、ホワイティ・バルジャーだ」と、被告人がバルジャー氏の移送に関する情報を事前につかんでいた証拠が示された。

ギアス被告はマフィアの殺し屋で、マサチューセッツでマフィア組織を率いていたビッグ・アル・ブルーノの殺害など、複数の犯罪に関与したとして有罪となり、2011年に終身刑を言い渡された。

デコロジェロ被告は、叔父のギャング組織に所属し、10代の少女を殺害するためにヘロインを購入したとして逮捕、有罪となった。計画は、少女の密告を恐れた叔父のために立てられたという。結局、少女はヘロインでは死なず、別のメンバーが首を折って殺害。バラバラにして森に埋めた。

バルジャー氏は1970年代から80年代にかけてアイルランド系のギャングを率いる一方で、FBIの情報提供者としても活動していた。1994年、協力していたFBI捜査官から、起訴が間近だと知らされるとボストンから逃亡。長年の逃亡生活の末、2010年にカリフォルニアで拘束された。逃亡中、200万ドルの懸賞金がかけられ、FBIの最重要指名手配10人とされた。

なおバルジャー氏は、マーティン・スコセッシ監督の映画「ディパーテッド」でジャック・ニコルソンが演じたギャングのボス、フランク・コステロのモデルにされている。