「ゴルフよりも紛争解決のほうがずっと大事だ」
──一週間ほど前にゴルフをプレーしながらそう言って苦笑を誘ったトランプ大統領。だが、そんな“大事なゴルフ”を、週末もたっぷり楽しんでいたようだ。
2日、ホワイトハウスの公式アカウントが投稿したのは、トランプがシニアクラブ選手権で優勝したというニュース。場所は彼の所有するニュージャージー州ベッドミンスターのゴルフコース。投稿にはスコアカードの写真とともに「コースの内外で勝ち続けている」とのコメントも添えられている。
スコアカードには、グロススコア69、ネットスコア67と記載。つまり、ハンディキャップはおよそ2。英インディペンデント紙によれば、これはプロ以外では極めて優秀な数字だという。
しかしこの華麗な勝利、SNSの反応はいたって冷ややか。先月スコットランドでゴルフをしていた際の「ズル疑惑」を蒸し返す声も少なくない。
「先週のスコットランドの映像、見たぞ。自分でボールを投げて、スコアもでっちあげてるだろ」
「コース内外でズルしてるんじゃないの?」
「このスコア、誰も信じちゃいないよ」
「ゴルフのスコアまでウソつくのか。北朝鮮かっての」
中には「これがホワイトハウス公式ページの投稿?悲しい」と政府広報としての品位を疑問視する声。「あんたオバマ大統領がゴルフをしすぎだって非難してなかった?」といったツッコミも。
実際、トランプはかつてバラク・オバマ元大統領のゴルフを強く批判していた。2016年の選挙期間中には「自分が大統領になったら、ゴルフをする時間なんてない」と豪語していたはずだった。
その一方で、トランプの“ゴルフの腕前”については以前から疑惑がつきまとっている。
ゴルフハンディキャップの管理ネットワークGHINによれば、トランプのハンディは2.8。年齢を考えれば世界トップレベルの数字とされるが、スポーツジャーナリストのリック・ライリー氏はこれに真っ向から反論。著書『Commander in Cheat(イカサマ司令官)』でこう語っている。
「エリザベス女王が棒高跳びの選手になるようなもの」
彼によれば、トランプは練習をほとんどせず、キャディーやプロの評価ではハンディは「7〜10」が妥当。
しかも、スコアの申告自体が極端に少ない。2018年までの過去7年で提出されたスコアはわずか20ラウンド分のみ。年間平均では80ラウンド近く回っていると推定されているため、良い成績だけを選んで申告している可能性は高い。さらに、提出されたスコアですら、打数のごまかしや、コースの難易度の“盛り”が疑われている。
そして今、その“ゴルフ熱”は大統領2期目になっても一向に冷める気配がない。
一部報道によれば、就任から191日間のうち、75日を自身のリゾート地(フロリダ、ニュージャージー、バージニア、ネバダ、スコットランドなど)で過ごし、そのうち45日はゴルフに費やしたという。これは任期の約4分の1に相当する。
ゴルフでも外交でも「勝ち」にこだわる大統領。せめて政界では、ルールを守るプレーであってほしい。