エプスタイン事件に関する未公開資料の全面公開を求める法案に注目が集まるなか、トランプ大統領が新たな動きを見せた。大統領はSNSで、司法省に対し、ビル・クリントン元大統領ら民主党関係者とエプスタインの関係を捜査するよう求める考えを示した。
トランプは投稿で、「民主党がエプスタイン事件を利用し、政府閉鎖など自らの失敗から目をそらそうとしている」と主張。そのうえで「司法長官のパム・ボンディ、司法省、FBIの愛国者たちと共に、エプスタインとクリントン、ラリー・サマーズ、リード・ホフマン、JPモルガンやチェースなど多くの人物・組織との関係を明らかにするつもりだ」と述べた。
米議会では、12日にアデリータ・グリハルバ下院議員が就任宣誓を行ったことで、法案を本会議に持ち込む手続き(ディスチャージ請願)に必要な署名が揃い、本会議での審議・採決にかけられる見通しとなった。グリハルバ議員は9月のアリゾナ州特別選挙で当選していたが、ジョンソン下院議長は政府閉鎖を理由に就任手続きを先延ばしにしていた。
ディスチャージ請願には共和党議員4人も加わっている。本会議に法案が持ち込まれた場合、トランプの意に反して賛成に回る共和党議員は数十人から百人超に上るとの見方もある。
トランプはエプスタインとかつて親しい間柄にあったとされるが、犯罪や不正行為への関与はいかなるものも一貫して否定している。資料公開を拒む理由は明らかでないが、今回の捜査要求が公開阻止に向けた新たな戦略との見方も浮上している。
13日、MSNBCに出演したニューヨーク・タイムズのコラムニスト、ミッシェル・ゴールドバーグは、法案が下院共和党内で大きな支持を得る可能性を指摘したうえで、捜査開始は公開を避けるための格好の口実になりうると述べた。
「(捜査は)彼と、彼に同調したい共和党員たちに、少なくとも『捜査が進行中の今は、これらのファイルを公開できない』と言うための薄っぺらな口実を与えることになる」
彼女はまた、バイデン政権下でも公開が進まなかった理由の一つが同様に“捜査”であった可能性を示唆した。
一方、下院監視委員会の民主党は12日、エプスタインのメールなど2万3,000件を超える未公開資料を新たに公開した。資料はエプスタイン遺産財団が保管していたものとされる。その中には、エプスタインが2011年にギレーヌ・マクスウェルに送ったメールも含まれ、トランプが性的人身売買の被害者と「私の家で何時間も過ごした」と記したうえで、彼を「まだ吠えていない犬」と表現していた。
ただし、これらのメールが具体的に何を示しているのかは不明瞭だ。2018年のテキストでは「彼を倒せるのは私だ」と不利な情報を持つかのように記す一方、2019年の逮捕直前のメールでは「彼はマッサージを受けたことがない」と関与を否定するような文面も残されており、内容は一貫していない。
