2つの銃乱射事件後 トランプ大統領 白人至上主義を非難

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テキサス州エルパソで3日に発生した銃乱射事件により、20人が死亡、26人が負傷した。さらに、この十数時間後、オハイオ州デイトンでも銃乱射があり、9人が死亡、27人が負傷した。

立て続けに起きた乱射事件を受け、トランプ大統領は5日、ホワイトハウスでスピーチを行い、人種差別や白人至上主義を非難するとともに、今後の政策などについて対応を発表した。

「アメリカにヘイトの居場所はない」

エルパソの乱射事件の約20分前、犯人によるものとみられる声明がオンラインに投稿された。声明は、人種差別や白人至上主義者と関係する内容が含まれ、「ヒスパニックの侵略への対応」「文化的、民族的置き換えから国家を守る」など、犯行理由が述べられている。

トランプ大統領は「われわれの国家は、人種差別と偏見、白人至上主義を非難しなければならない。邪悪なイデオロギーは倒されなければならない。アメリカにヘイトの場所はない」と非難した。

トランプ大統領は、2年前のシャーロッツビル事件における白人至上主義者擁護ととられる発言や、非白人議員へのツイートや言動が人種差別的だとしてこれまで多くの非難を浴びている。先月、非白人の民主党の女性議員に対して「国へ帰れ」とツイートしたことから、下院では人種差別だとして非難決議が可決された。また、自らがこれまで、国境に押し寄せる移民を「侵略」であると発言している。

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「精神障がいと憎悪が銃を抜くのだ。銃ではない」

トランプ大統領は演説前のツイートで、「共和党と民主党は協力して、強力なバックグラウンドチェックを達成しなければならない」と述べていた。

下院では2月、個人間の売買を含む、ほぼすべての銃取引で犯罪歴などの調査を義務化するユニバーバックグラウンドチェックと調査期間の拡大など、銃規制の強化法案を可決した。

スピーチでは、法案に関する発言が注目されたが、大統領は語ることを避けた。

代わりに、レッドフラッグ法を支持することを明きらかにした。レッドフラッグ法は、家族や警官が、危険をもたらす可能性のある人物の銃器の購入や所持の禁止を裁判所に求めることを可能とするもので、申請後、裁判官が武器の購入禁止や放棄を強制する保護命令を発行するかどうか決定する。これまで、コロラド州やニューヨーク州など、17州で法制化されている。

また大統領は「精神障がいと憎悪が銃を抜くのだ。銃ではない」と述べ、精神衛生に関する法改正をしなければならないと語った。

ネットとゲームにも責任

大統領は必要な対応として「残酷で身の毛のよだつビデオゲーム」を含む、「暴力を称えることを止めなければならない」と述べ、直ちに停止または大幅に減らさなければならないと語った。

またインターネットについて「心の乱れを急進的にし、発狂的な行いを実行させる危険な道を提供している」と述べ、「インターネットの奥に潜む暗闇に明かりをあて、大量殺人が起きる前に制止しなければならない」と語った。

犯人によるものとみられる犯行声明は、ネット掲示板の8ch.netにアップロードされていた。

大統領は続けて、インターネットは、人身売買や薬物の密輸など重大犯罪に利用されているとし、「インターネットとソーシャルメディアの差し迫った危険は見過ごすことはできない」と語った。