大谷選手側と水原氏が説明を一転、違法賭博スキャンダルの真相は

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違法賭博に関連して、大谷翔平選手から「大金を盗んだ」と同氏の代理人から告発された後、ドジャースを解雇された通訳の水原一平氏(39)。水原氏は解雇の前日、メディアの取材に違法賭博に関する詳細を語っていたが、翌日に発言を否定するなど、不可解な点が浮上している。

疑惑の発端は?

ESPNによると、連邦捜査局は今年1月、ブックメーカーであるマシュー・ボウヤー氏の違法賭博を捜査する中で、大谷選手の個人名「Shohei Otani」からの送金があったことを確認した。

大谷選手の広報担当者は19日、送金に関するESPNの質問に対し「大谷が水原氏の借金を肩代わりするため送金した」と説明。同日、広報担当者が水原氏とESPNのインタビューを設定し、水原氏が90分間にわたり、自ら送金の経緯などを語るに至った。

タイムラインは

水原氏がESPNに語ったところによると、2021年からサッカーの国際試合やNBA、NFLなど野球以外のスポーツに賭けを行っていた。当初は、スポーツ賭博大手のDraftKingsなどで賭けをしていたが、サンディエゴのポーカーゲームでボウヤー氏と出会った後、ツケで賭けを始めた。

2022年末までに借金は「雪だるま式」に増え、100万ドル以上となっていた。

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自分が多額の借金を抱えていると知った大谷選手は「明らかに良い顔をしなかった」が、「二度と手を出さないと確約した上で、助けてくれた」という。水原氏の前で、大谷選手は自身のコンピューターにログインし「数ヶ月にわたり、送金を行なった」。

大谷選手が直接金銭を渡さなかったのは「お金に関して自分を信用していなかった」からで、「彼は私にギャンブルにお金を使って欲しくなかった」と語った。大谷選手に返済する意思は伝えていたという。

インタビューの中では、野球には賭けたことがなく、大谷選手は賭博に一切関与していないとし、ブックメーカーから案内された賭博は「合法だと思っていた」と強調していた。

なお関係者はESPNに、水原氏の借金の額は「少なくとも450万ドル(約6.8億円)」と明かしている。さらに同局は、昨年9月と10月に2回、大谷選手の個人の口座からボウヤー氏の関係者に各50万ドル(7,500万円)の送金があったことを確認しているとしており、明細には「ローン」と書かれていたと伝えている。

翌日に話が一転

しかし翌20日、大谷選手の広報担当者はESPNに水原氏の発言を否定し、大谷選手の代理人が声明を発表すると回答。水原氏も同日、大谷選手が借金について認識しておらず、ブックメーカーの関係者に送金をしていないと述べるなど、前日と異なる説明をした。

大谷選手の代理人、バーク・ブレトラー氏は20日の声明で「メディアの質問に答える中で、われわれは翔平が大規模な窃盗の被害者であることを発見した」と発表し、「この問題は捜査当局に引き渡した」と加えた。

この報道の後、水原氏はドジャースを解雇された。

ESPNによると、ある関係者は、ボウヤー氏は「ローン」の送金主が大谷選手であることを認識していたが、滞りなく支払いが行われていたため、あえて詳細は尋ねなかったと説明している。ただし、自身のビジネスを促進するため、大谷選手が自らの顧客であるとアピールしていたという。

ボウヤー氏は昨年10月、連邦捜査当局による家宅捜索を受けた。現時点で訴追されていないが、重罪に問われる可能性があるとも報じられている。

同氏の代理人は、ロサンゼルス・タイムズに対し、同氏は大谷選手とは面識がなく、連絡を取ったこともなかったと語っている。

なお、カリフォルニア州では、スポーツ賭博が合法化されていない。NBLの選手や関係者は、野球の試合に対する賭博や、違法なブックメーカー、海外のサイトを通じた賭博も禁止されている。