暗殺警戒のプーチン氏 各地のオフィスを同じデザインに

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ロシアのプーチン大統領は、国内各地のオフィスを同一のデザインにして、居場所を悟られないようにしているという。ロシア連邦警護庁(FSO)に13年間務め、大統領付きの通信管理を担当した元情報将校、グレブ・カラクロフ氏が、ロシア政府の犯罪活動を追跡する調査グループ「Dossier Center」のインタビューで明かした。

カラクロフ氏は昨年10月、プーチン氏に同行してカザフスタンを訪れた際、妻子と共にイスタンブールに逃れた。

同氏によると、ヴァルダイとノボオガリョボ、ソチにある大統領公邸に設けられたオフィスは同じように見えるよう設計され、その目的は「外国の諜報機関を混乱させるための策略で、第二に、命が狙われるのを防ぐための策略でもある」と語った。

見分けるのは困難で、ある時、ソチにいるはずだったプーチン氏が、ノボオガリョボで会合を開く様子がテレビで流れたことがあり、同僚にソチを発ったのか確認したところ、実はまだ現地に滞在していたことがあった。

移動を見せかけることもあり、ソチにいる同僚が、大統領機を持ち込んだり、わざと大統領の車列を出発させて帰るふりをすることがあると、冗談まじりに話したこともあったという。

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一般鉄道と見分けつかない電車で移動

カラクロフ氏の任務には、ホテルなど滞在先の建物以外に、ヘリや飛行機、ヨット、列車での移動中に「特別な通信」を確立することも含まれていた。プーチン氏の専用列車は、灰色をベースに赤色のストライプの入ったデザインで、ロシア鉄道の一般的な車両と見分けがつかないという。

2014年から使用されているが、頻繁に利用するようになったのは2021年の夏頃で、カラクロフ氏は、運行情報が追跡される飛行機に比べて「目立ちにくいからだ」と説明。「どこにも追跡されない。ステルスのためだ」と語った。

なおロシアの独立調査報道メディア、Proektは今年2月、ロシアで近年、プーチン氏の主要な公邸をつなぐ秘密の駅や路線が構築されていると報じた。

Dossier Centerが以前伝えたところによると、列車は、一般的な車両とほとんど見分けがつかないが、動力車や輪軸の数が多く、覆われた通信アンテナがあるのが特徴。寝室や会議用の書斎を備えた大統領専用車両と、側近のための車両、通信車両などからなるという。

カラクロフ氏はまた、プーチン氏が外国に出かける際には必ず特別な通話ブースを持ち込むと明かした。高さ2.5mほどの立方体で、傍受を心配せずに交渉ごとにあたることができるという。

プーチン氏がCIS(独立国家共同体)の首脳会議でカザフスタンを訪れた昨年10月には、同国のロシア大使館の敷地内にある地下壕に通信設備を設けた。カラクロフ氏は「他国の領土にいるのだ。サミットの主催国が、すべてのセキュリティを提供し、大使館の領土自体も警備されている」としつつ、もはや「パラノイア」の域に達していると語った。

ネットも携帯も使わない、ますます閉鎖的に

プーチン氏の近くで仕事をするスタッフは、全員がワクチンの接種を終え、1日に数回PCR検査を受けているにもかかわらず、現在も仕事の2週間前から隔離を強制されるという。カラクロフ氏は、なぜ厳しい検疫を続けるのか理由は不明であるとしつつ、感染を恐れ、健康を心配しているのだろうと話した。

コロナ以降、プーチン氏が出張する機会は激減しており、以前はモスクワに2週間以上滞在することがなかったところが、2020年以降はシェルターに身を起き、出張は年に数回程度になったという。

さらに、プーチン氏は、インターネットも携帯電話も使わず、情報はもっぱら親しい人物に頼っているという。

カラクロフ氏は、以前は活発に動き回っていたプーチンの変化について「非常に閉鎖的になった」と指摘。「全世界から、あらゆるバリア、検疫、情報不足で自分を守り、彼の現実認識は歪んでしまった」と吐露した。