ミシガン州デトロイト郊外で、地元の警察官が高齢の男性に対して行った粋な計らいが話題を呼んでいる。地元放送局FOX2が伝えた。
先月30日午後7時半頃、デトロイト郊外の町、スターリングハイツで、警察官のケビン・コーツ氏が1台のGM車をスピード違反で停止させた。
運転していたのは、79歳の男性で、名前は「デビッド」とのみ発表されている。パトカーのダッシュカムの映像には、車からふらふらと出てきたデビッドさんは困惑した様子で、「何もかもうまくいかない」と訴える様子が撮影されている。
デビッドさんは長いこと町に住んでおり、妻が病気で、精神障害を持った成人の息子がいるという。
コーツ氏が話を聞くと、家族を少しでも楽しませようと新しいテレビを購入したが、ケーブル接続の仕方が分からず困っていたと話した。
「違反せず運転しようとしたつもりだった。今日新しいテレビを買ってきた。妻を幸せにしたかったから。でもつなげ方が分からないんだ」
デビットさんは涙がこみ上げる様子で話し、複数の店を聞いて回ったが、それでも埒があかないと説明した。
コーツ氏は、何が問題で接続できないのか聞いたものの、デビットさんは何が悪いのか全く見当がつかないという。以前使っていたのは古いブラウン管テレビで、新しいテレビのことは全く分からない、と答えた。
コーツ氏は後で手伝いに行きましょうかと提案。連絡先を交換し、後で同僚を連れて訪問すると約束した。
約1時間後。コーツ氏は約束通り、同僚のレミ・べログストレート氏と新米警察官のジェレミー・ジャクシェビッチ氏を連れて、デビッドさんの自宅に到着した。
3人はテレビの接続を手伝い、使い方やチャンネルの切り替え方を、デビッドさんに細かく教えたという。
自分は機械には弱く、3人の助けがなければ買ったテレビを使えないままだった、とデビッドさんは感謝を示した。
スターリングハイツ警察のデール・ドワジャコウスキー署長は、3人の警察官の活躍を称賛。「コーツ警察官、べログストレート警察官、新米のジャクシェビッチ警察官の3人が職務の範囲を越えて市民を助けたことを誇りに思う。スターリングハイツ警察による地域貢献の模範の一つだ」と語った。
デビッドさんのスピード違反については、口頭による注意だけにとどまり、切符は切られなかったという。