米司法 カナダファッション業界大物、ピーター・ナイガードを性的人身売買で起訴

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ニューヨーク南部地区検事局は15日、カナダのアパレル企業、ナイガードインターナショナルの創設者で元CEOのピーター・ナイガード(Peter Nygard)(79)を逮捕、ゆすりや性的人身売買など9つの訴因で起訴したと発表した。

捜査当局は、米加間の犯罪者引渡条約に従い、カナダ当局に仮逮捕令状の発行を要求。14日にカナダのマニトバで拘束された。

検察は、ナイガード被告は過去25年に渡り、ナイガードグループの影響力と従業員、資金を利用して、「成人と未成年の少女の犠牲者を、自分と友人、仕事の関係者の性的満足のために勧誘、維持した」と発表。またナイガードグループの従業員を含む共謀者らが、詐欺や脅迫するなどして、犠牲者らにナイガード被告やその他の人々と性行為をさせたとしている。

犠牲者は少なくとも数十人に上るという。

発表によると、経済的に不利な背景や虐待された過去のある女性や少女が標的にされた。ナイガード被告は犠牲者を、脅迫や経済援助、モデルや仕事の約束のほか、継続的な監視や移動の制限、身体的孤立によってコントロール。犠牲者らに性的暴行を加えたほか、バイガード被告の仲間から、薬を飲まされて性的暴行を受けた犠牲者もいる。

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ナイガード被告は、犠牲者の一部と個人的または仕事を装った関係を保ち、「ガールフレンド」や「アシスタント」などと呼んでいた。「ガールフレンド」を旅行に同行させて、性的行為のために定期的に一緒に滞在させた。さらに新たな犠牲者をリクルートさせていたという。

勧誘には、カリフォルニアとバハマにある邸宅で開催していたイベントを利用。「Pamper Party」と呼ぶ無料スパサービスなどを提供するイベントを開催し、この中で女性や少女を選び、「ガールフレンド」や従業員にアプローチさせた。敷地内で性的行為を行い、金を支払っていたという。要求に従わない場合、薬を飲ませるなどした。

資金はナイガードグループから捻出。グループの資金でパーティを開催し、従業員を使って勧誘させた。犠牲者を「モデル」や「アシスタント」として、雇用していたケースもあった。

さらにナイガードグループの従業員や資金を使って、性的暴行や性的人身取引への関与を告発しようとする個人を、威圧、脅迫。金を支払って、証人に虚偽の声明や宣誓供述をさせたほか、逮捕や訴追、名声を傷つけると脅かすなどしていた。

FBIとニューヨーク市警察は2月、今回の逮捕へと繋がった捜査で、タイムズスクエアにあるナイガードインターナショナルの事務所を家宅捜索していた。この翌月、同社は連邦破産法15条の適用を申請した。

ナイガード氏の代理人はニューヨークタイムズに、起訴内容を否定。嫌疑が晴らされることを期待していると答えている。

なおナイガード氏は2月にも、10人の女性に性的暴行をした容疑で起訴されていた。

同紙によると、保釈審理のための聴聞会は1月13日に設定されている。