米、下院民主党 トランプ大統領の弾劾調査を開始。政権側は一転、情報開示へ

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ナンシー・ペロシ下院議長は24日、トランプ大統領に対する弾劾調査を正式に開始することを発表した。

発表の前日、7月末のウクライナ大統領との電話協議の少なくとも一週間前に、トランプ大統領が同国への軍事支援約4億ドルを保留するよう指示していたことが報じられた。

トランプ大統領はこれまで、電話協議の中で、ウクライナのゼレンスキー大統領に対して、ジョー・バイデン前副大統領と息子ハンター氏に対する調査を繰り返し働きかけたと報じられており、軍事支援と引き換えに、ライバル候補にダメージを与えようとした可能性が指摘されていた。

また電話の内容は、情報機関の当局者が8月に行なった一連の内部告発に含まれる。内部告発を受けたマイケル・アトキンソン監察官は、内容について議会への説明の義務が生じる「信頼性と緊急の懸念」が認められると判断した。しかし、トランプ大統領が8月に任命したマグワイア国家情報長官代行が司法省と協議の結果、議会への説明は不必要と判断した。下院民主党では、法律に従って告発内容の共有を求めていたが、政権側が拒否の姿勢を示し、弾劾を求める声が一気に高まっていた。

ペロシ氏は発表の冒頭「悲しくも憲法記念日(9月17日)に、情報当局の監察官が、正式に内部告発を議会に引き継ぐことを、政権から禁止されたと報告をした。これは法律違反だ」と述べた。続けて「その直後、大統領が外国権力に選挙介入を要求した電話に関する報道が広がった。これは憲法上の責務違反にあたる。」と語った。

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ペロシ氏は「今週、大統領はウクライナ大統領に、自身の政治的利益となる行動をするよう要求したことを認めた。トランプ大統領の行いから、宣誓に対する裏切り、安全保障への裏切り、公正な選挙の裏切りという不名誉な事実が明らかとなった。」と述べ、「よって本日、下院は公式な弾劾調査を開始することを発表する。弾劾審議の下、6つの委員会に調査を進めるよう指示をした。大統領は責任を取らなければならない。なんびとも法の超越しない」と語った。

トランプ政権は内部告発・通話記録の開示へ

ペロシ氏の会見の予定が報じられると、国連総会に出席していたトランプ大統領はツイッターで、明日、ゼレンスキー大統領との会話記録を公開すると発表した。

また米複数メディアは夕方、政権高官の話として、ホワイトハウスが週末までに内部告発と監察官の報告書を議会に提出する準備をしていると報じた。

26日には下院情報委員会の公聴会に、マグワイア国家情報長官代行が出席する。また同日午後、マグワイア氏とアトキンソン監察官が上院情報委員会で非公開の公聴会に出席を予定している。