ニューヨーク州がトランプ大統領を提訴 慈善事業の資金流用に違法性

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14日、ニューヨーク州のバーバラ・アンダーウッド(Barbara Underwood)司法長官は、慈善団体「トランプ財団」と、財団役員を務めたトランプ大統領と3人の子供たちを、連邦法およびニューヨーク州法違反の疑いで提訴した。

訴状によると、トランプ財団は、慈善名目の資産を2016年大統領選におけるキャンペーンの支援や、トランプホテルのプロモート、個人的消費や法的債務の支払いに流用するなど、10年以上にわたり慈善事業に関する連邦法とニューヨーク州法への違反を繰り返した。アンダーウッド長官は裁判所に対し、トランプ財団の解散とともに、トランプ氏と息子のドナルド・トランプ・ジュニア氏、エリック氏およびイバンカ氏に対し、ニューヨーク州における慈善事業へ携わることの禁止を求めた。なお、トランプ氏の子供3人は2006年以降、財団の役員となっており、イバンカ氏はホワイトハウスの役職に就任するために2017年に退任している。

調査は、2016年6月、エリック・シュナイダーマン前司法長官の時代から約2年間にわたって行われ、財団を通じたトランプ選挙陣営への違法な政治協力や、トランプ氏個人、トランプ氏の事業や政治的利害を得るために、意図的な自己取引や受託義務違反が繰り返されたとしている。また、1999年以降、年一回の開催が義務付けられている役員会が開催されず、トランプ氏のみが財団の銀行口座の署名者となり、すべての資金交付の承認を行うなど、役員の監督義務が果たされてこなかったことを明らかにした。

違法性が指摘された取引には、2014年、トランプ氏の肖像画の購入に使用された1万ドルの支払い(肖像画はトランプ氏のマイアミのゴルフリゾートに飾られていることがワシントンポストによって報告されている)や、2007年のフロリダのトランプ氏の別荘「マー・ア・ラゴ」に対する提訴の和解に使用された1,000万ドルの支出などが含まれる。

また、調査は2016年1月、アイオワ州の共和党党員集会を前にトランプ氏が開催した退役軍人のためのファンドレイジングに着目。イベントでは財団に2,800万ドル以上が寄付されたとされ、これらの資金が選挙キャンペーンの促進を目的に、違法に使用されたとしている。

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さらなる疑惑へ発展の可能性

さらに、アンダーウッド長官は、連邦選挙委員会(Federal Election Commission)と国税庁(Internal Revenue Service)に、連邦法違反の可能性を調査するよう働きかけるレターを送付した。

大統領ツイートで反撃

この日は、奇しくもトランプ大統領の72歳の誕生日。ホームタウンのニューヨークからとんでもないプレゼントをもらった大統領は、提訴に対していつものとおりツイートで攻撃。女性への暴行疑惑で5月に辞任したエリック・シュナイダーマン前司法長官に触れ、提訴をばかげていると反撃した。

低俗なニューヨークの民主と、恥辱にまみれたエリック・シュナイダーマンが、いかなる手を使ってでも私を訴えようとしている。財団は1,880万ドルを集め、集めた資金以上の1,920万ドルを拠出しているんだ。私はこの裁判で和解などしない。ニューヨークでクリントンキャンペーンを張ったシュナイダーマンは、2年も手こずりながら、このばかげた訴訟に持ち込むことさえできなかった。今、彼は名誉を失い、職を降りた。彼の弟子どもが持ち出したんだ。