現在は画家として暮らすハンター・バイデンが、メラニア夫人との法廷闘争に真っ向から挑む構えを見せた。
事の発端は先週。ジャーナリストでYouTuberのアンドリュー・キャラハンが配信する『Channel 5』に出演したハンターが、メラニアとジェフリー・エプスタインの関係に触れたのだ。
「彼ら(トランプとエプスタイン)はよく知り合っていた。多くの時間を共に過ごしていた。伝記作家の証言によれば、エプスタインがトランプにメラニアを紹介したという。それが二人の出会いだ」
そして14日、『Channel 5』は「ハンター・バイデンが謝罪」と題した動画を公開。再び招かれたハンターの前で、キャラハンがメラニアの弁護士から届いた書簡を読み上げた。
内容はこうだ──ビデオを削除して謝罪しなければ、10億ドルの損害賠償を求めて法的手段に訴える。
キャラハンは「ここで謝罪する機会を与えましょう」と促す。だがハンターは一蹴。
「クソ食らえですね。謝罪はしない」
彼は、発言はマイケル・ウォルフやニューヨーク・タイムズの記事を引用しただけだと主張。政権批判から世間の目をそらすための動きだと反撃を続けた。
さらに民事訴訟の証拠開示手続きに言及。
「彼らがデポジションでエプスタインとの関係を明らかにしたいのなら、その場を提供しようじゃないか」
過去にはクリントン元大統領がデポジションに応じた例もある。原告がメラニアなら、トランプ本人を宣誓証言の場に引きずり出せる可能性もある──そうハンターは見ている。麻薬や税金滞納など数々の問題を抱えてきた彼だが、イェール・ロー・スクール出身の元弁護士でもある。
一方、メラニアの弁護士はここ最近、エプスタインとの関係に触れた記事や番組の削除に次々成功してきた。先月は米ニュースサイト「デイリー・ビースト」が記事を削除し謝罪。先週は民主党の重鎮ジェームズ・カーヴィルがポッドキャストでの発言を撤回し謝罪した。メラニアはその都度、謝罪文のスクショをXに投稿し“勝利”をアピールしている。
だが今回はそう簡単にいきそうにない。これまでトランプの攻撃の標的にされてきたハンターは、ブレずに立ち向かう。YouTubeのコメント欄には「伝説的な対応」「冷静すぎる」「これぞ本物のダークブランドン」と賛辞が並ぶ。
本当に訴訟に踏み切るのか──。そもそも現在トランプ政権が直面するエプスタイン問題は、トランプの公約にもかかわらず司法長官が事件資料の完全公開を打ち切ったことにある。しかも、打ち切り判断の前に、トランプは自分の名前が資料に多数含まれていると報告を受けていたと報じられている。夥しい人数の被害者を出しながら、本人の獄中死によって真相が闇に葬り去られようとしているエプスタイン事件。トランプには知られたくない情報がある。そんな疑念が根強い。
高額訴訟で脅して相手を萎縮させる作戦かもしれない。しかしハンターは怯まずにこう言い放つ。
「ドナルドとメラニア、エプスタインとの関係の始まりを知りたいなら、みんなで追及しよう。私がその先頭に立とうじゃないか」
皮肉なことに、この資料非公開に最も反発しているのはMAGAサポーターたちだ。抑えこもうとするほどに燃え上がる疑念は、宿敵バイデン家の息子とトランプ支持者の利害を一致させる──そんな奇妙な展開を迎えつつある。