NYの高級板チョコ「MAST」ウィリアムズバーグ店閉鎖へ

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ブルックリンのチョコレートメーカー「マスト」(Mast)がウィリアムズバーグの店舗を閉鎖した。Eaterによると、同社は工場をウエストチェスター郡のマウント・キスコ(Mount Kisco)に移転させる計画だという。また、広報担当者はブルックリンで店舗を開設する予定だと語っているが、詳細は明らかにされていない。

ヒップなチョコレートメーカーとして有名に

MAST Brooklyn
©mashupNY

マストはリックとマイケル・マスト(Rick and Michael Mast)兄弟が2007年に創業。原材料の加工から包装まで、全ての工程をブルックリンの自社工場で行う「ビーン・トゥ・バー」(bean-to-bar)を謳い、美しいイタリア製の紙で包装された板チョコレートで知られる。1枚1,000円前後の値段にも関わらず、米ヴォーグやニューヨークタイムズなどの雑誌でも紹介され、一躍有名となった。
チョコレートは食料品店だけでなく、アパレル店などでも販売された。また、シェイク・シャックやマークジェイコブスなどとコラボレーション商品も開発。2013年には料理本を出版している。
ブルックリンを拠点に、手作りで少量生産するチョコレートメーカーとして、”ヒップ”なイメージを作り出した。

製法に疑惑発覚

しかし2015年に、ダラス在住のフードブロガー、スコット・クレイグ(Scott Craig)さんが、Dallasfood.orgでマストの製法は詐欺だと主張したことで、状況は変化する。
味やテクスチャーが市販の商品に類似しているため、工業用チョコレートを購入し、溶かして固めただけなのではないかと疑問を呈した。この記事をきっかけに、クオーツ(Quartz)などのメディアでも検証記事が掲載された。

この疑惑に対しマスト兄弟は、ニューヨークタイムズに、創業当初はチョコレートを溶かしたものを固めていたことを認めた。現在はその製法は行っていないとしている。
企業イメージへのダメージは大きく、その後売り上げは激減したという。2016年、ネイビーヤードに工場を開設するとして、ロンドンとロサンゼルスの店舗を閉鎖した。
イーターは、ウエストチェスターへの工場新設後、ネイビーヤードの工場が移転するかどうかについては不明だとしている。