米セレブシェフ、マリオ・バターリ氏 全レストランの経営権を売却

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デル・ポスト(Del Posto)やバッボ(Babbo)などの有名レストランや、イータリー(Eataly)を成功に導いた米セレブシェフのマリオ・バターリ(Mario Batali)氏(58)が、全てのレストランの経営権を売却することが分かった。ニューヨークタイムズが報じた。

2017年末以降、#MeTooムーブメントが活発となる中、少なくとも7人の女性が、バターリ氏によるセクハラ行為を告発していた。

20年以上バターリ氏と経営を共にしてきたジョー・バスティアーニッチ(Joe Bastianich)は、パートナー関係を解消し、新会社を設立すると発表した。
2人が所有するB&Bホスピタリーグループ(Batali & Bastianich Hospitality Group)は清算する。

新会社の経営を引き受けるバスティアーニッチ氏の妹、タニア・バスティアーニッチ・マヌアーリ (Tanya Bastianich Manuali)氏は、「バターリ氏は、今後いかなる方法でもレストランから利益を得ることはできません。」と述べた。
タニアさんとジョーさん兄弟は、バターリ氏から全てのレストラン経営権を買い上げるという。
またバターリ氏は、イタリアのラグジュアリーマーケット、イータリーUSAの株式も売却する予定だ。

新会社では、新たなマネジメント体制の元、国内16店舗の経営を行う。
カリフォルニアのシェフ、ナンシー・シルバートン(Nancy Silverton)氏や、バスティアーニッチの母 で「フェリディア」(Felidia)を営むリンダ・バスティアーニッチ(Lidia Bastianich)氏が新たなパートナーとして経営陣に加わる。

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バターリ氏のセクハラ疑惑

バターリ氏によるセクハラ行為は、イーター(eater)タイムズが最初に報じた。
バターリ氏は、当初身に覚えがないとしていたが、その後謝罪した。全てのレストラン運営から身を引いたが、経営権は所有していた。
2018年1月、バターリ氏が出演していた米ABCの料理番組「The Chew」が打ち切りとなっている。
同年5月には、2004年1月バッボで起きた、ドラッグを使用した性的暴行事件についてニューヨーク市警察が捜査を行っていることが報じられた。

#MeTooの告発以来、サンズカジノグループ(Sands casino group)は契約を終了させたため、ラスベガスとシンガポール6箇所のレストランが閉鎖されている。
イーターによると、ニューヨークでの売上は30%減少。チェルシーのミシュランレストラン「ラシーナ」(La Sirena)は昨年閉店した。

バスティアーニッチ氏は、発覚から現在に至るまで、バターリ氏のセクハラ行為については知らなかったと主張している。
しかし、何人かの従業員は、それはあり得ないとタイムズに述べている。バターリ氏が、女性を軽視する性差別的なカルチャーを築き、共同経営者であるバスティアーニッチ氏も、男性従業員らの不正行為を見て見ぬ振りをしてきたと非難している。