「マール・ア・ラーゴ顔」って何? トランプ周辺女性たちに見る美容の共通点

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どこか似ているその顔は美容の流行か、またはボスに対する忠誠の合図か

トランプ大統領の周囲にいる女性たちに、ある特定の美容整形の傾向が見られる――。そんな現象が「Mar-a-Lago Face(マール・ア・ラーゴ顔)」と呼ばれて注目されている。この呼び名は、トランプ氏の自宅兼リゾートであるフロリダ州の「マール・ア・ラーゴ」にちなんだものだ。

この“顔”に含まれるとされるのは、メラニア夫人をはじめ、クリスティ・ノーム国土安全保障省長官、トランプ・ジュニア氏の元恋人キンバリー・ギルフォイル氏、エリック・トランプ氏の妻で共和党全国委員会のララ・トランプ氏、極右活動家のローラ・ルーマー氏、さらにはジェフ・ベゾス氏の婚約者ローレン・サンチェス氏など、政界や著名人との関係を持つ女性たちだ。

英紙「インディペンデント」は、マール・ア・ラーゴ顔の特徴として「鼻の整形、フェイスリフト、過剰な注入治療」を挙げる。さらに「ハリウッド・レポーター」は、それを「厚化粧で角ばった頬骨、ふっくらとした唇、フェリーニ映画に登場するような誇張された“着飾ったフォックスニュースのキャスター風”」と表現している。

この変化は、美容やファッションの個性というより、より深い社会的・政治的メッセージの一端と見る声もある。「Mother Jones」のエディター、オ・イネ氏は、彼女たちの変貌の背景にあるのは「アグレッシブで露骨な姿勢」であり、「見せかけに執着するトランプ氏、そして彼が有権者に厳格なジェンダー規範を押し付けようとするより広範な試みに対する忠誠のシグナル」が潜んでいると分析。「女性らしさと男性らしさの規範と違い」を強化し、「男性政治家に対して、同じ保守的な目標にコミットしているが、自分たちが脅威ではない」というメッセージとして機能するとも主張している。

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トランプ氏自身も、こうした“外見”に敏感だ。昨年年3月、オハイオ州での選挙集会では、ノーム氏を壇上に呼んだ後、「彼女を美しいなんて言ってはいけない。私も言わない」と冗談めかした。その後、トランプ氏は彼女を国土安全保障省長官に指名している。

ノーム氏の外見の変化も話題になっており、「ニューヨーク・タイムズ」は彼女を「ギルフォイル氏のドッペルゲンガー」、または「ララ・トランプ氏の黒髪バージョン」と表現している。

ちなみに、トランプ氏自身もブロンザーの厚塗りや、脱毛縮小術、毛髪移植、ボトックス、ダーマルフィラーなど、美容整形のうわさが絶えない。長女イヴァンカ氏やメラニア夫人も含め、トランプ家が美容整形に費やしてきた金額は100万ドル(約1.5億円)とも報じられている

もちろん、政界で活動する女性たちが公の場に立ち続けるため、容姿に自信を持ちたいと願うのは自然なことだ。整形手術そのものが批判の対象になるべきではない。ただし、専門家の間では、意図しない副作用への懸念も指摘されている。

ビバリー・ヒルズの整形外科医はインディペンデントに対し、加齢による頬こけを改善しようと何度も施術を受けるうちに組織が引き伸ばされ、顔の老化が加速する可能性があると述べた。最先端のフェイスリフト技術を使わない外科医に当たると「人間離れした印象」の顔になることが多いという。また、フィラーによって筋肉の動きが阻害されると「凍りついた顔」が生じやすく、感情表現が乏しくなることで他者とのコミュニケーション、つまり心を通わせることが難しくなるリスクがあると指摘している。