米著名風刺漫画家、差別発言で新聞各社が一斉キャンセル、仕事がゼロに

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米国の著名な風刺漫画家の差別的発言をしたことで、大手新聞各社が一斉に作品の掲載を取りやめる決定を下した。

打ち切られたのは、スコット・アダムス氏(65)が1989年から連載を続けるサラリーマンを題材にした漫画「Dilbert(ディルバート)」。アダムス氏は22日に投稿したYouTube動画で、今月実施された世論調査に言及し、黒人を「ヘイトグループ」と述べ、白人は黒人から離れるべきだと主張していた。

ワシントンポスト紙は、動画の投稿後に批判が相次ぎ、自社での掲載が打ち切られたとするとともに、全国紙USA Todayからローカル紙まで数百媒体を展開する米国最大の新聞社ガネット、ロサンゼルスタイムズをはじめとした新聞各社が取りやめたと報じた。

アダムス氏が言及したのは調査会社ラスムッセン・レポートが実施した世論調査で、「白人であってもOKか?」との質問に、全体の72%が同意を示した。黒人の回答者は53%が賛成した。さらに「黒人も人種差別主義者になり得るか」との問いでは、黒人の66%を含む79%が同意した。同社は「長年にわたるプログレッシブの活動にも関わらず、国民の大半は、白人が人種差別を独占しているという”ウォーク”な主張を信じていない」と結論付けた。

アダムス氏は動画の中で、47%の黒人の回答者は「白人であってもいい」と答えたがらなかったと指摘。自らを黒人と認識するなどして黒人コミュニティーを支援してきようとしたが、「これが、私の活動を変える初めての政治的世論調査だ」とした上で、「黒人の半数近くが白人をよく思っていないのならば、それこそヘイトグループだ」と主張。「私の白人への最善のアドバイスは、黒人の人々から早く離れろということだ。さっさと離れろ。どこでもいいから、とにかく離れろ」と語った。

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「これは修正できない」問題だとし、自分はすでに「黒人人口の少ない地域に移動した」と明かしたほか、「アメリカの白人として黒人を助けようとするのは、全く意味がないと思う。理にかなっていない」と加えた。

ガネットはニューヨークポスト紙に宛てた声明で「作者スコット・アダムス氏による、最近の差別的発言が漫画の出版を中止するという決断に影響を与えた」とした上で、「われわれは、言論の自由を尊重し奨励するが、彼の見解は組織としてのわれわれの編集や事業の価値と一致しない」と打ち切りの理由を説明した。

一方、アダムス氏は25日にツイッターに「多くの人々が怒っているが、まだ反対する人を耳にしていない」と投稿。動画で指摘したのは2点あるとし、「1.すべての人を一人の人間として扱う(差別しない)。2. あなたを尊重しないグループは避けなさい。これを悪いアドバイスだと思う人はいますか?」と、自らの発言を擁護した。

なおアダムス氏は、ワシントンポスト紙に、まだ掲載している新聞があるかと聞かれると「月曜日までには、ゼロになるだろう」と答えたという。