「ネタニヤフ首相がNATO加盟国に空爆する恐れ」オバマ政権元高官が懸念

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noamgalai / Shutterstock.com

イスラエル軍がカタールの首都ドーハでハマス指導者を狙った空爆を行ったことについて、オバマ政権で副国家安全保障補佐官を務めたベン・ローズは「ネタニヤフ首相がNATO加盟国トルコにまで攻撃を拡大する恐れがある」と警告した。

ローズはポッドキャスト番組『Pod Save America』で、「ネタニヤフはトランプ政権が求めた停戦交渉を事実上終わらせた。望んでいるのは戦争の永続化とガザの民族浄化だ」と批判。「イスラエルはガザ住民がいなくなるまで攻撃を続けるつもりだ」と危機感を示した。

また今回の空爆について、アラブ世界にとって屈辱であると同時に、米国にとっても屈辱だと指摘。米軍が約1万人駐留するカタールとの協力関係に触れつつ、「攻撃はミサイル発射後に米側へ通知された。トランプは騙されたのか、全く関心を払っていない可能性もある」と語った。

さらにローズは、トランプ政権の姿勢がイスラエルに誤ったシグナルを送っていると懸念。「空爆は、トランプとジャレッド・クシュナーが『ガザのリビエラ』構想を話し合った週に行われた。トランプが爆撃に関与したかどうかは別として、問題はイスラエルがホワイトハウスの”民族浄化会合”の合図を受け、ガザで好きにやってよいと思い込んでいることだ。もう交渉をする必要はないのだと」と述べた。

ワシントン・ポストは今月初め、政権内で検討される「ガザ再建計画」の存在を報道。入手した資料によれば、ガザの住民200万人以上を一時的に国外または特定地域へ移住させ、米国の委任統治下で観光リゾートやハイテク拠点に再編する案が含まれていたという。直前にはホワイトハウスで対応策を議論する会合が開かれ、クシュナーや元英首相トニー・ブレアも同席していた。

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ローズは今後について「次に事態が向かうのは、ハマス指導者らがしばしば行き着くもう一つの拠点のトルコだ」と指摘。イスラエルはシリア情勢をめぐってトルコと対立している。「イスラエルがトルコを攻撃する可能性もないとは言えない。今の状況を考えると、プーチンがNATO加盟国を攻撃する前に、ネタニヤフが先にNATO加盟国を攻撃する可能性の方が高いかもしれない」と警鐘を鳴らした。

イスラエルが10月7日以降にガザ以外で爆撃を行なった地域は、シリア、レバノン、イラク、イラン、イエメンなど複数の国に及んでいる。

米Axiosによると、今回の空爆で指導部殺害は失敗したが5人が死亡。ハマスは米国も攻撃に関与したと非難している。カタール首相は直前にドーハでハマス指導者と会談し、米国の新提案受け入れを働きかけていた。空爆はその協議の最中に行われ、一部の指導者はトルコから移動して参加していたという。