米エスクァイア 中流家庭の白人男子学生を特集し物議

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米エスクァイア・マガジン(Esquire magazine)は3月号で、「今アメリカで育つ子供たち」の新たな連載を開始。初回は、ウィスコンシン州の中流家庭の白人男子高校生ライアン・モーガン(Ryan Morgan)さんの話を掲載した。

17歳のモーガンさんは、共和党支持者の多いウィスコンシン州南部のウエストベンド(West Bend)で生まれ育った。ブルーカラーのドイツ系アメリカ人が多く住む同地では、トラプ大統領は67%の票を獲得した。ここでは保守系の穏健派は、リベラル派と呼ばれるという。
モーガンさんも保守系の家庭で育った。政治に関しては「穏健派でいる方が、炎上することなく、みんなを幸せにできる。」と述べる。使用するソーシャルメディアはインスタグラムのみで、コメントに配慮するため、FOXニュースとCNNを視聴するようになったという。政治に関しては、死刑や外国製品の制限を支持し、ニードルエクスチェンジには反対。中絶は合法化するべきでないと考える。#MeTooに関しては、学校で議論されたことはなく、聞いたことはあるものの、深い意味は知らないと述べた。トランプ大統領は、人を怒らせすぎだが、人種差別主義者でも、女性差別主義者だとは思わないと語る。

エスクァイアのジェイ・フィールデン(Jay Fielden)編集長は、特集の趣旨に関して、「自分の15歳の息子も、特権に対する批判や性差流動性など、全て含まれた複雑な世界と向き合っている。」とし、今の分断されたアメリカ社会で育つ子供たちは、どのようなものかを議論するため、特集「growing up now」が企画されたと述べた。子供たちの視点を通じ、アメリカを見つめるための企画で、白人の男性に続き、今後は黒人やLGBTQ、女性などが特集される予定だ。

今回取材したモーガンさんについて、「大変成熟した、知的でしっかりとした若者だ。」と述べ、率直に彼自身の生活や考えを語ってくれたことに感謝を表した。記事には多くの大人が賛同してくれるだろうが、それを勇気を出して、表立って発言する人はいないだろうと述べている。

ソーシャルメディアで議論に

3月号の見出しには、「アメリカの少年:ソーシャルメディアや学校での銃乱射、有害な男らしさ、#MeToo、分断された国家の時代に、中産階級の白人男性として育つことは、どのようなことか。」と記載されている。

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記事が公開されると、典型的な白人の少年の物語であり、同情すらうかがえる。2月の黒人月間で特集する必要性があるのかと多くの人から疑問や非難の声が上がった。それらに対し、さらに非難を寄せる人も現れ、ツイッターではEsquireのトピックがトレンド入りした。

OutマガジンのFran Tirado副編集長は「クリック数のために、普通の白人を急進的に見せかけることをやめて、エスクァイアは、その才能あるチームを他の報道に活かすべきだ。」と一連のツイートで揶揄した。

ESPNのスポーツ・ジャーナリストJemele Hill氏は「白人男性であることの体験について、我々が十分に議論していないと思ったから?」と皮肉を述べた。

2月の黒人月間というタイミングで、この記事が発行されたことに、疑問を呈する人も多い。

デイリービーストWill Sommer記者は、「クールなスニーカー」が好きな、どこにでもいる共和党支持者の学生について書いた7,000語のカバーストーリーに完全に困惑している。

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特集記事の文章を書いたライターのジェニファー・パーシー(Jennifer Percy)氏は、表紙のイメージと記事の意図は異なっており、内容はミスリーディングだと主張した。
パーシー氏は、「記事は、白人男性の特権について少年たちに教育することの重要性を示しており、彼らが変わるには、学生時代が理想的であることを示している。」とCBSニュースにメールで回答した。パーシー氏は表紙のイメージとテキストには承認を出していないと述べている。