移民流入問題、NY市長 個人宅の空き部屋活用を示唆

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亡命を希望する人々が押し寄せている問題で、ニューヨークのエリック・アダムス市長は5日、市内の礼拝堂を緊急シェルターに利用する計画を明らかにするとともに、今後、個人宅を宿泊先として求める考えを示した。

宗教施設の利用について、市の既存のシェルターの負担軽減になると同時に、移民を地域の生活に溶け込ませることにもなると説明。「これはウィン・ウィンなのだ。投資に対するすばらしいリターンだ」と語った。

計画には50の礼拝堂が参加し、およそ1,000人分の宿泊を確保する。食事、衣類など市の既存のシェルターと同様のサービスを提供する。一人当たりのコストは1日125ドルだが、緊急対応に利用するホテルよりもはるかに安いと話した。

アダムス氏によると、昨年の春以降、7万人を超える亡命希望者が市に到着した。「この亡命希望者の流入は、深刻な危機であり、市は自力で立ち向かっている。ニューヨークがこのような目に遭わなければならないのは不公平だ」と主張。今年5月末までに費やした予算は12億ドルを計上する一方、政府からの割り当ては4,000万ドルに満たないとし、「国家的危機」を市の納税者が負担していると強調した。

「10万8,000の市区町村すべてが、この国家的問題に取り組む時だ」と述べる一方、政府には、真の移民制度改革を求めるとした。さらに国家非常事態を宣言し、追加資源を投入するよう、政府に働きかけていると加えた。

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市は対応を急いでいる。先月は、コロナ対策を理由とした移民制限措置(タイトル42)の解除を受けた大量の移民流入に備え、パンデミック中に閉館した歴史的ホテル「ルーズベルトホテル」を、到着センターおよびシェルターとして解放した。

アダムス氏はさらに、次のステップとして、亡命希望者らを個人宅に移すビジョンを描いていると説明。「経済的課題に苦しんでいる住民がいる。空き部屋もある」と語り、今後42億ドル〜43億ドルを見込む対策予算を、企業ではなく一般のニューヨーカーに戻すことができるとアピールした。

その後、記者からの質問に、移民を受け入れる家庭や大家に対して、市が補助金を拠出する考えがあることを明確化し、集会所やホテルよりも家庭に頼むほうが安上がりだと語った。一方で、物件の短期貸し出しに関わる法律など、乗り越えなければならない法的問題もあるとしたほか、州レベルへの働きかけも必要との考えを示した。