妻20人の大半が未成年 カルト教団指導者、児童虐待で逮捕

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米連邦捜査局(FBI)は、アリゾナ州で10代の自分の娘を含む20人の女性を妻にしたカルト教団指導者の男について、宣誓供述書を裁判所に提出した。

捜査対象となっているのは、一夫多妻制を掲げる「末日聖徒イエス・キリスト教会原理派(FLDS)」の分派教団の指導者として50人の信者を持つ、サミュエル・ラピリー・ベイトマン(Samuel Rappylee Bateman)容疑者(46)。

ソルトレイクトリビューンが、FBIの宣誓供述書をもとに報じたところによると、ベイトマン容疑者は自分を「神の使者」だと主張し、10代の自分の娘と結婚すると豪語していた。女性ら最大20人と婚姻関係を結んだとされ、近親相姦や小児性愛的乱交、性的人身取引を行っていた。その多くは15歳以下の未成年だったという。供述書によると、12歳の少女を含む自分の娘を信者3人と性交させ、その様子を眺めていたこともあった。

さらに容疑者は、少女たちの貞操は「君主への生け贄」だと主張。「体は神が修復し、処女膜を再生する」「自分は間違いなく神の意思に従っている。すべては愛によるものだ」などと語っていたという。

容疑が最初に明るみに出たのは今年8月、ベイトマン容疑者が少女らをトレーラーに乗せ、州をまたいで移動しようとしたところ、警察の取り締まりを受け、州当局が逮捕するに至った。車内にはソファーとトイレ代わりのバケツがあり、不潔で安全性も確保されていない環境だったという。取り締まった警察官は「トレーラーの後部ドアの隙間から子供の小さな指が動いていたのが見え」、不審に思って車を止めたと話している。

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地元メディアは、ベイトマン容疑者のSUVには女性2人と15歳以下の少女2人、トレーラー部分には11歳から14歳までの少女3人が乗っていたと伝えている。ベイトマン容疑者は3件の児童虐待の罪で州当局から起訴されたが、保釈金を払って釈放された。

しかしその後間もなく連邦当局がベイトマン容疑者の捜査を開始。調べによると容疑者は児童虐待のほか、暗号化されたメッセージシステムを使って、囲い込んでいた女性や少女らのパスポートを取得するよう信者らに指示した上、メッセージを消去するよう迫り、証拠隠滅を図ったという。FBIは容疑者の自宅2軒を複数回にわたって家宅捜索し、9人の少女を保護した。

英紙メトロによると、アリゾナ州連邦地裁のカミーユ・バイブルス下級判事は、ベイトマン容疑者がパイロットの免許を持ち、多くの信者と金銭や物資の援助が可能な知り合いがいることから、逃亡の恐れがあるとして、裁判所手続きが済むまで拘留するよう命じた。また、幼い少女らの状況にも懸念を示し、「裁判所は、自分で身を守ることのできない人々を保護することを重要視する」と声明を出している。

ベイトマン容疑者の教団と本家FLDSの関係

ベイトマン容疑者の教団はもともと、数千人規模の信者を持つFLDSの分派で、「原理主義FLDS」と名乗っている。容疑者の名前を取って「サミュエル・ベイトマン・グループ」や、「サミュエルティー」と呼ばれることもあり、信者らはベイトマン容疑者を「ファーザー」と呼んでいる。

元来のFLDSの指導者、ウォレン・ジェフスも少女2人に対する性的虐待で有罪判決を受けた小児性愛者で、現在テキサス州の刑務所に服役中。ベイトマン容疑者は自分の教団をFLDSとは別だとしているが、FBIが捜索した容疑者の自宅の寝室にはジェフズの写真が飾られていたという。