集合住宅火災で3500億円の損害賠償請求 住民が集団提訴 NY

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ニューヨーク市ブロンクスで起きた集合住宅火災で、20人以上の住民が11日、ビルのオーナーや市を相手取り、30億ドル(約3,440億円)の損害賠償を求める訴えを、ブロンクスの地方裁判所に提起した。ニューヨークポスト紙が報じた

訴えられたのは、現在の建物の所有者でジョイントベンチャー「ブロンクスパーク・フェーズIII・プリザベーションLLC」の複数社と、元オーナーのルービン・シュロン氏らや、市の住宅部門や前市長のデブラシオ氏など。賠償には、20億ドルの懲罰的損害賠償が含まれる。

CNNによると、原告は、火災報知器に不具合があったことや、建物内の暖房が不十分であったこと、インターホンやスプリンクラーが設置されていなかったなど、所有者の過失を主張している。原告の弁護士によると、現在の原告団は22人だが、今後増える可能性はあるという。

市には、建物が建築基準法に違反したとして、住民から各自10億ドルの損害賠償を求める通知が、送られたという。

8人の子ども含む17人が死亡

火災は9日午前11時ごろ、ブロンクスにある19階建ての集合住宅(333 E. 181st St)で発生した。消防局は、出火元は2階と3階の間にまたがるメゾネット形式の部屋で、欠陥のあったヒーターが、火災の原因との見方を示している。

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▼火災発生時の様子

出火元の部屋にあった「機能不全のドア」が、自動的に閉鎖せず、開きっぱなしになっていたことから、煙が階段の吹き抜けを通じて、建物内に充満。大きな被害につながった可能性があると発表している。

ダニエル・ナイグロ消防局長は地元ラジオ局に、ドアが正常に作動しなかった原因について、構造上の問題か、障害物などで妨げられたのか、解明できない可能性があると語っている。ドアが閉まっていれば、惨事は避けられた可能性があるという。

さらに、15階のドアも開いたままになっており、煙を拡散する要因となった。このドアについては、原因が特定できるだろうとしている。今後は、ドアと火災報知器の機能不全について、調査を行うとしている。

火災により、8人の子どもを含む17人が死亡。現在も8人が入院中だという。25人が手当てを受け、退院した。検視局は12日、全員煙死だったと発表した。