バーンスタイン役の俳優、物議醸した「ユダヤ人の鼻」に言及

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Netflixの伝記映画「マエストロ」で、伝説の作曲家レナード・バーンスタインを演じた俳優ブラッドリー・クーパーが、「ユダヤ人の鼻」騒動について沈黙を破った。

作品は、世界的指揮者バーンスタインと妻のフェリシア・モンテアレグレ(キャリー・マリガン)の25年間にわたる複雑な結婚生活を描いたもの。クーパーは主演のほか、監督と脚本家を務めた。

©Netflix

今年5月に初めてスチール写真が公開されると、メイクアップで鼻を大きく見せていたことや、英国人のキャリー・マリガンがチリ系ユダヤ人を演じていたことから、「ユダヤ人でない人物をユダヤ人に見せている」「民族コスプレ」といった非難の声が上がっていた。

クーパーは21日に出演した番組CBSモーニングで、メイクについて「バランスの問題だった」と語っている。自分の鼻はバーンスタインに似ていたことから「必要ないと思っていた」が、唇や顎などが異なっていたため「(補装具なしには)そのように見えなかった」と説明した。

ちなみに、クーパーは作曲家を志したこともあった。子供のころは、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲などに夢中で、サンタクロースに指揮棒をお願いするほどだったという。バーンスタイン役にクーパーを推したのは、マーティン・スコセッシ監督と共に「マエストロ」のプロデューサーを務めたスティーブン・スピルバーグ監督だった。

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ユダヤ人の擁護団体「名誉毀損防止同盟」やバーンスタイン氏の家族は、クーパーのメイクや配役に対する支持を表明している。

名誉毀損防止同盟は8月、Varietyの取材に「これまで反ユダヤ的な映画やプロパガンダで、大きなかぎ鼻を持つ邪悪な風刺的描写」が多かったとする一方で、今回の作品は、伝説の指揮者を描いたもので、これに当てはまらないと主張している。

バーンスタイン氏の家族も声明で「鼻のメイクアップは、父も良しとするのを確信している」と述べ、一連の批判は「成功者を貶めるための不誠実な試み」だと指摘。父親にもそういった対応があったと述べた。

なお、2021年に非ユダヤ人の俳優をユダヤ人役として起用する「ユダヤ人フェイス」(Jewface)に批判的な発言をしていたコメディアン、サラ・シルバーマンも同作品に出演しているが、クーバーの件についてはコメントしていない。

ちなみにメイクを担当したのは、『スキャンダル』や『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』でアカデミー賞を2度受賞した著名アーティスト、カズ・ヒロ。ネットでは早くも3度目のオスカーを期待する声が上がっている。