「クィアを利用」ビリー・ポーター、ハリー・スタイルズを表紙に起用した有名ファッション誌に不満

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俳優のビリー・ポーターは、ファッション誌の米ヴォーグが、ハリー・スタイルズを表紙モデルに起用した件に関して、まだ怒りを覚えていると、不満を露わにした。

これまで、ブロードウェイミュージカル「キンキーブーツ」やドラマ「POSE」に出演してきたポーターは、クィア・コミュニティを代表する俳優として知られる。

2019年に開催されたゴールデングローブ賞やアカデミー賞授賞式のレッドカーペットで、華やかな装飾を施したシルバーのスーツやマント、ベルベットのタキシードドレスを着て登場し、称賛を浴びた。

ヴォーグが、元ワン・ダイレクションのハリー・スタイルズを起用したのは、2020年の12月号。ヴォーグで、男性が単独で表紙を飾ったのは、初めてだった。

スタイルズは、誌面でグッチのロングドレスや黒のタキシードジャケットを着用。ジェンダーレスな衣装が「男性の女性化」など保守派の間で物議を醸していた。

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ポーターは14日に掲載された英紙テレグラフのインタビューで、ヴォーグはファッション業界の「門番」であるにもかかわらず、クイア・コミュニティを認めていないと指摘した。

スタイルズの起用が決定する前、アナ・ウィンター編集長やコンデナスト社のスタッフと、話し合いの場を持っていたとも明かした。

ポーターは「あのB****は最後に、どうすれば、われわれは向上することができるでしょうか?と尋ねてきたが、私は不意を突かれ、明確に答えることができなかった」と振り返り、あの時、「Vogueという力を使って、脱ジェンダーファッション・ムーブメントのリーダーの声を高めようと主張すべきだった」と後悔を語った。

「スタイルズはたまたま、白人かつキュートなストレートで、そのインフラにフィットしただけ」で、本人に問題はないとした上で、非難すべきは「門番」のほうだと主張。「私にとって、いい気分はしない。彼らやその仲間らは、自分たちを高めるために、われわれのコミュニティを利用している」と非難し、「何も犠牲にしてこなかった」と不満を示した。

NYC Pride 2023
2023年にニューヨークで開催された「プライドパレード」で、グランドマーシャルを務めたビリー・ポーター ©MashupReporter

ポーターは2021年、英紙タイムズとのインタビューでも、自分が最初にノンバイナリーのファッションに関する会話のきっかけをつくったにもかかわらず、ヴォーグが白人で異性愛者のスタイルズを起用したと批判していた。

ドレスの着用は「自分にとって政治であり、自分の人生そのもの」だと述べ、「自分は生涯をかけて戦い、オスカーでドレスを着ても、凶弾に倒れることがない場所まで辿り着いた。一方で、彼がやったことは、白人でストレートだということだけだ」と語っていた。ポーターはこの発言の後、スタイルズを名指ししたことについて、謝罪を表明している。